![]() | こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。 本日は、ブリティッシュ・サウンドの極みとも言える、ハーベスの新製品「Super HL5 plus」を取り上げます。非常にナチュラルな、楽器や声の質感を大事にした、実に肌ざわりの良いサウンドのブックシェルフ型スピーカーです。 |
■HL Compactでご存じの方も多い「ハーベス(Harbeth)」![]() ハーベスは、1977年に設立されたイギリスの比較的小規模なスピーカーメーカーです。 創業者であるダッドリー・ハーウッド(H.Dudley Harwood)氏は、英国BBC(イギリス放送協会)研究所のエンジニアとして、ブックシェルフ型スピーカーの銘機「LS3/5A」を設計した人物です。ウーファーの振動板を従来のコーン紙に替えて、ベクストレンやポリプロピレンなどの新素材を採用し、その実用化に成功しました。 ハーベスは当初、BBC向けのモニタースピーカーの生産に特化していましたが、民生用(家庭用)のスピーカーシステムに参入したのは、その10年後の1987年。愛弟子であるアラン・ショー氏にハーベスの未来を託して、ハーウッド氏が引退したあとのことです。 ショー氏の先進的技法の注入によって、1988年に高耐入力化を図るため、ハードドーム・ツイーターを搭載した、第一作目となる「HL Compact(コンパクト)」を発表。続いて、1989年には「HL5」、1990年には「LS3/5A」のコンシューマーモデルとなる「HL P3」と、矢継ぎ早に発表しました。 これらは当時大ヒットし、特に「HL Compact」とラックスのA級プリメインアンプとの組み合わせは、各オーディオ誌で絶賛され、クラシックファンの定番の組み合わせになったものです。こうして、ハーベスの「HLファミリー」が形成されたのです。 現在も、民生用とスタジオ用途の業務用の2ラインの製品を展開し、いずれの製品もバージョンアップしながら、今日に至っています。 他メーカーのように頻繁に改良を繰り返すのではなく、非常に周期の長いバージョンアップながらも、創業当時から不変のハーベス独自の「ブリティッシュ・サウンド」を今日まで守りつつ、進化し続けているのです。いずれも創業当時と同じく、今なおブックシェルフ型を継承しています。 そのハーベスも今日まで順調に発展してきたのではなく、一時期は日本への製品輸入が途絶えたこともありましたが、2006年に「HL Compact 7ES-3」が久々に大ヒットし、今日に至っています。 ■スタジオモニターの流れを汲む「Super HL5 plus」 ![]() 今回取り上げる「Super HL5 plus」は、民生用「HLファミリー」であり、最新鋭機かつ最上級機であるブックシェルフ型スピーカーになります。 オリジナルは、前述の「HL5」まで遡ります。「HL5」のユニット構成は、20cmウーファーと2.5cmφアルミニウム・ツイーターの2ウェイ構成の大型のバスレフ型でした。 その後、2004年に「Super HL5」として、ウーファー振動板が「RADIAL振動板」に変更され、10kHz以上を受け持たせたスーパーツイーターを追加して、3ウェイとし、広帯域化を実現したのでした。このスーパーツイーターにより、従来からのふくよかで穏やかなハーベスサウンドに、若干ではありますが現在的な明るさが加わったのでした。 それから11年が経過した今年(2015年)、「Super HL5」の末尾に「Plus」を追加した「Super HL5 plus」が登場しました。オリジナルから26年が経過していながらも、前作の「Super HL5」に対して、見た目の変化はあまりありません。これはやはり、源流にスタジオモニター(同じ大きさで同じ場所に設置されるのが前提)であるための必然とも感じます。 ■他スピーカーとは一線を画す「ハーベス・サウンド」を継承 ![]() 中低域ドライバー・ユニットには、これまでの「RADIALコーン」に替わって、2006年発売の「HL Compact 7ES-3」で採用され、既に実証されている「RADIALコーン」の発展型「RADIAL2コーン」を採用し、軟らかく柔軟性に富んだエッジにより、ピストンモーションの正確性を確保したのです。 「RADIAL2」は、ポリプロピレンにアルミニウムを配合して、コーンの中心部から外周部にかけて、そのブレンド量を変化させることで、剛性と内部損失という相反する特性の最適化を図った理想的な振動板だといいます。 ツイーターは2つのドーム型ユニットがインラインに配置されています。従来機同様、3.5kHz以上を受け持たせた2.5cmアルミドーム型を継承、12kHz以上をカバーするスーパーツイーターも2cmチタン製ドーム型で、これらに大きな変化はありません。 フロントバスレフの外観やエンクロージャーの大きさにもほとんど変化はないのですが、エンクロージャー内部の吸音材は従来より増加しているようです。 キャビネットは必要以上に剛性を高めたモノではなく、ごく薄い木材が音のエネルギーに俊敏に反応できるよう、コンピューター・チューニングを重ねて生み出される「Super Tuned Structure」に一層磨きをかけたといいます。また、ネジの締め方にいたるまで、最新の注意が払われているとのことです。 能率は86dB/W/mと、その大きさからは控えめです。入力はハーベスには珍しい、4端子のバイワイヤリング仕様となっています。さらに、本機のクロスオーバー回路は、音響シミュレーションソフトなどを活用して、主要パーツの見直し、配線材にOFCを使用するなど、外からは見えない多くの改良が施されているようです。 実質的には「HL Compact 7ES-3」に搭載されたユニットを大きめのエンクロージャーに収納した上で、スーパーツイーターを追加したシステムで、これにより周波数レンジが広がり、ダイナミックレンジも拡大されているようです。 結果、現在市場に出回っている多くの高剛性、ハイスピードのスピーカーとは一線を画した、非常にナチュラルな、楽器や声の質感を大事にした、実に肌ざわりの良い、いわゆる「ハーベス・サウンド」を継承しています。 ■最上級の「ブリティッシュ・サウンド」をあなたに ![]() 私自身、かつて「LS3/5A」を所有していたこともあり、一時期はスペンドール「BC2」やロジャース「PM510」に憧れたこともある、自称「BBCサウンド大好き人間」です。その私が、仕事を離れて、スコッチを傾けながら、音楽をたゆとうままにゆったりと自宅で愉しむ時に、これこそ最適なスピーカーだと断言できるのが、最上級の「ハーベス・サウンド」いわゆる「ブリティッシュ・サウンド」の極みである「Super HL5 plus」です。 ハーベスのフラッグシップ機であり、かつ同社史上最高の性能を誇る最新鋭機「Super HL5 plus」を、クラシックファンはもちろん、心温まる「リッチで癒し」のサウンドで、あらゆるジャンルの音楽を心ゆくまで味わいたい音楽ファンに、自信を持ってお勧めします。 ぜひ、ご購入をご検討ください。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん) |