![]() | こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。 4~5年前から、アキュフェーズに対して、事あるごとに「USB-DACを一刻も早く開発して欲しい」とお願いし続けてきたにも関わらず、なかなか「うん」と言ってくれなかったのですが、ついに今年(2014年)12月に「USB-DAC搭載のD/Aコンバーター」が発売されることになりました。その名は、MDSDデジタル・プロセッサー『 DC-37 』(12月中旬発売)です。 もちろん、単なるUSB-DACではなく、外部デジタル機器入力にCOAXIAL×2、OPTICAL×2、USB、同社オリジナル HS-LINK の6系統を備え、出力も-80dBまで絞る(無音まで絞りきることはできない)ことができる、デジタル方式のレベル・コントロールを内蔵した、デジタルプリアンプとも呼べる内容の製品です。 |
■孤高のブランド『 アキュフェーズ 』![]() アキュフェーズの頑なさは創業以来のことで、世の中の動きに一切流されず我が道を貫き、ひたすらオリジナル技術を磨き、ノウハウを積み重ね、その結果、他メーカーを寄せ付けない《 孤高のブランド 》へと到達したのです。その頑なさの例としては、オーディオ雑誌での広告はすべてモノクロであり、オーディオショーや販売店での試聴会では、一切オーディオ評論家などの外部講師を招かず、自社の技術者が説明。また、スピーカーシステムやアナログプレーヤーなど、アンプとデジタルプレーヤー関連製品以外には輸入を含め一切手を出さないとか…など、数え上げればキリがありません。その頑なさこそが、自社商品の販売ルートを極端に絞り込み、価格ではなく同社製品を大切に販売するお店のみでの取り扱いとしているのです。これだけ制限しているにもかかわらず、販売店やオーディオ評論家の評価は絶大で、各誌主催のオーディオ賞を毎回総ナメにし、取り扱いをしているオーディオ販売店の売上げにも大きく寄与しているのです。 アキュフェーズが、創業40周年記念モデルの第二弾として2011年に発表したのが、ハイエンドオーディオの頂点ともいえる超弩級セパレート型SACD/CDプレーヤー「DP-900」と、そのペアとなるプレシジョンMDSD(Multiple Double Speed DSD)デジタル・プロセッサー「DC-901」でした。また2013年には、一体型SACD/CDプレーヤーの最高峰「DP-720」を発売し、いずれもリファレンス機器として国内外で非常に高い評価を受けています。 ■待ちに待ったD/Aコンバーターには、5.6448MHz(1bit 2ch DSD)に対応したMDSD方式を搭載 ![]() D/Aコンバーター『 DC-37 』は、前述『 DC-901 』『 DP-720 』の技術を受け継ぎつつ、より時代の最先端を目指し、アキュフェーズの持つ高度なデジタル・テクノロジーを駆使。独創的なデジタル処理によって、DSD信号をストレートにD/A変換するMDSD方式を同社としては初めて、5.6448MHz(1bit 2ch DSD)に対応させて搭載しています。これに伴って、HS-LINKもVer.2にバージョンアップして、サンプリング周波数と量子化ビット数を大幅に拡張し、5.6448MHz(1bit 2ch DSD)と384kHz(32bit 2ch PCM)まで再生可能としたのです。 これまでの入力されたデジタル信号のサンプリング周波数の表示に加え、アキュフェーズでは初となる、量子化ビット数を実際に計測して数値として表示する新しい試みもされています。また、従来からの他社のUSB-DACではあまり試みられてこなかった、電源部のトランスからのデジ/アナ分離による完全独立電源により、高周波雑音や電気的な干渉による音質劣化を完全に防備しています。 外観は、アキュフェーズならではの豪華なゴールド調のパネルで、サイドウッドは自然木による本木目仕上げの優美な高級感たっぷりのデザインです。 ■MDSD(Multiple Double Speed DSD)とは? ![]() DSD信号は可聴帯域を超えてから、量子化ノイズが急上昇するため、何らかの手段で除去する必要があります。そのために、従来はデジタルフィルターによってノイズを除去していました。『 DC-37 』では、これに代わって、FPGA(ファームウェアを読み込ませることで回路構成を自由に 変えることができる汎用性の高いLSI)を使ったデジタル演算と、絶妙な移動平均フィルター回路をD/Aコンバーターに組み入れた、独自の再生方式であるMDSD方式によって、変換誤差を極小化すると同時に、量子化ノイズを除去するハイカットフィルター機能を両立させているのです。 PCM信号には従来機でも採用されている、MDS++変換方式D/Aコンバーターにより対応しています。DACには、最高峰をいわれるESS ES9018を並列駆動で使用しています。 D/Aコンバーターの最終段には、必要不可欠なアナログフィルターに、Direct Balanced Filter回路を搭載しています。これにより、D/A変換では必ずつきまとう超高域のイメージノイズを、通過させる信号の周波数特性が極めてフラットとなる高性能なアナログフィルターによって除去。さらに、LINE(RCA)/バランス(XLR)回路を完全独立させ、動作時の干渉を防止する理想的なLPF(Low Pass Filter)を採用しています。 ■ハイレゾの真の実力を発揮する『 ハイエンドUSB-DAC 』 ![]() 音質的には、オーディオショーで少し聴いた程度で、聴き慣れたオーディオ機器では聴いておりませんが、同社のデジタルプレーヤーに共通する純度の高さ、滲みのない鮮度感、さらに生き生きとした音楽の生命感が再現されていました。その実力の片鱗は、十分感じとることができました。 さらに『 DC-37 』の導入は、アキュフェーズのSACDプレーヤーをお持ちの方にこそ、最大のメリットがあると考えます。それは、同社の過去に発売されたHS-LINK付のSACDプレーヤー(DP-77,DP-78を除く)に『 DC-37 』を接続することで、最新型のSACDプレーヤーに早変わりするということです。もちろん、他社のCDプレーヤーについても、アキュフェーズのCDの最高音質が得られる可能性も十分考えられます。それに加えて、ハイエンドのUSB-DACとしてもお使いいただけるのですから、これは非常にグレードアップや買い増しのメリットが大きいのではないでしょうか。 これぞ、我々ハイエンド・オーディオファイル(Audio Phile)が待ち望んだUSB-DAC。他社を含めた従来機とは一線を画した、本格的PCオーディオ、そしてハイレゾの真の実力を発揮する『 ハイエンドUSB-DAC 』の登場です。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん) |