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アキュフェーズ初の『 USB-DAC搭載 D/Aコンバーター 』が登場!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
4~5年前から、アキュフェーズに対して、事あるごとに「USB-DACを一刻も早く開発して欲しい」とお願いし続けてきたにも関わらず、なかなか「うん」と言ってくれなかったのですが、ついに今年(2014年)12月に「USB-DAC搭載のD/Aコンバーター」が発売されることになりました。その名は、MDSDデジタル・プロセッサー『 DC-37 』(12月中旬発売)です。

もちろん、単なるUSB-DACではなく、外部デジタル機器入力にCOAXIAL×2、OPTICAL×2、USB、同社オリジナル HS-LINK の6系統を備え、出力も-80dBまで絞る(無音まで絞りきることはできない)ことができる、デジタル方式のレベル・コントロールを内蔵した、デジタルプリアンプとも呼べる内容の製品です。

孤高のブランド『 アキュフェーズ 』

アキュフェーズの頑なさは創業以来のことで、世の中の動きに一切流されず我が道を貫き、ひたすらオリジナル技術を磨き、ノウハウを積み重ね、その結果、他メーカーを寄せ付けない《 孤高のブランド 》へと到達したのです。その頑なさの例としては、オーディオ雑誌での広告はすべてモノクロであり、オーディオショーや販売店での試聴会では、一切オーディオ評論家などの外部講師を招かず、自社の技術者が説明。また、スピーカーシステムやアナログプレーヤーなど、アンプとデジタルプレーヤー関連製品以外には輸入を含め一切手を出さないとか…など、数え上げればキリがありません。その頑なさこそが、自社商品の販売ルートを極端に絞り込み、価格ではなく同社製品を大切に販売するお店のみでの取り扱いとしているのです。これだけ制限しているにもかかわらず、販売店やオーディオ評論家の評価は絶大で、各誌主催のオーディオ賞を毎回総ナメにし、取り扱いをしているオーディオ販売店の売上げにも大きく寄与しているのです。

アキュフェーズが、創業40周年記念モデルの第二弾として2011年に発表したのが、ハイエンドオーディオの頂点ともいえる超弩級セパレート型SACD/CDプレーヤー「DP-900」と、そのペアとなるプレシジョンMDSD(Multiple Double Speed DSD)デジタル・プロセッサー「DC-901」でした。また2013年には、一体型SACD/CDプレーヤーの最高峰「DP-720」を発売し、いずれもリファレンス機器として国内外で非常に高い評価を受けています。

待ちに待ったD/Aコンバーターには、5.6448MHz(1bit 2ch DSD)に対応したMDSD方式を搭載

D/Aコンバーター『 DC-37 』は、前述『 DC-901 』『 DP-720 』の技術を受け継ぎつつ、より時代の最先端を目指し、アキュフェーズの持つ高度なデジタル・テクノロジーを駆使。独創的なデジタル処理によって、DSD信号をストレートにD/A変換するMDSD方式を同社としては初めて、5.6448MHz(1bit 2ch DSD)に対応させて搭載しています。これに伴って、HS-LINKもVer.2にバージョンアップして、サンプリング周波数と量子化ビット数を大幅に拡張し、5.6448MHz(1bit 2ch DSD)と384kHz(32bit 2ch PCM)まで再生可能としたのです。

これまでの入力されたデジタル信号のサンプリング周波数の表示に加え、アキュフェーズでは初となる、量子化ビット数を実際に計測して数値として表示する新しい試みもされています。また、従来からの他社のUSB-DACではあまり試みられてこなかった、電源部のトランスからのデジ/アナ分離による完全独立電源により、高周波雑音や電気的な干渉による音質劣化を完全に防備しています。

外観は、アキュフェーズならではの豪華なゴールド調のパネルで、サイドウッドは自然木による本木目仕上げの優美な高級感たっぷりのデザインです。

MDSD(Multiple Double Speed DSD)とは?

DSD信号は可聴帯域を超えてから、量子化ノイズが急上昇するため、何らかの手段で除去する必要があります。そのために、従来はデジタルフィルターによってノイズを除去していました。『 DC-37 』では、これに代わって、FPGA(ファームウェアを読み込ませることで回路構成を自由に 変えることができる汎用性の高いLSI)を使ったデジタル演算と、絶妙な移動平均フィルター回路をD/Aコンバーターに組み入れた、独自の再生方式であるMDSD方式によって、変換誤差を極小化すると同時に、量子化ノイズを除去するハイカットフィルター機能を両立させているのです。

PCM信号には従来機でも採用されている、MDS++変換方式D/Aコンバーターにより対応しています。DACには、最高峰をいわれるESS ES9018を並列駆動で使用しています。

D/Aコンバーターの最終段には、必要不可欠なアナログフィルターに、Direct Balanced Filter回路を搭載しています。これにより、D/A変換では必ずつきまとう超高域のイメージノイズを、通過させる信号の周波数特性が極めてフラットとなる高性能なアナログフィルターによって除去。さらに、LINE(RCA)/バランス(XLR)回路を完全独立させ、動作時の干渉を防止する理想的なLPF(Low Pass Filter)を採用しています。

ハイレゾの真の実力を発揮する『 ハイエンドUSB-DAC 』

音質的には、オーディオショーで少し聴いた程度で、聴き慣れたオーディオ機器では聴いておりませんが、同社のデジタルプレーヤーに共通する純度の高さ、滲みのない鮮度感、さらに生き生きとした音楽の生命感が再現されていました。その実力の片鱗は、十分感じとることができました。

さらに『 DC-37 』の導入は、アキュフェーズのSACDプレーヤーをお持ちの方にこそ、最大のメリットがあると考えます。それは、同社の過去に発売されたHS-LINK付のSACDプレーヤー(DP-77,DP-78を除く)に『 DC-37 』を接続することで、最新型のSACDプレーヤーに早変わりするということです。もちろん、他社のCDプレーヤーについても、アキュフェーズのCDの最高音質が得られる可能性も十分考えられます。それに加えて、ハイエンドのUSB-DACとしてもお使いいただけるのですから、これは非常にグレードアップや買い増しのメリットが大きいのではないでしょうか。

これぞ、我々ハイエンド・オーディオファイル(Audio Phile)が待ち望んだUSB-DAC。他社を含めた従来機とは一線を画した、本格的PCオーディオ、そしてハイレゾの真の実力を発揮する『 ハイエンドUSB-DAC 』の登場です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)


DSD音源対応のネットワークプレーヤー第2世代機『 PIONEER N-70A 』

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
本日は、数々のノウハウを詰め込んだネットワークプレーヤー第2世代機『 PIONEER N-70A 』を取り上げます。最新鋭のUSB-DAC機能も搭載しているお買い得機です。

ネットワークプレーヤー 第2世代機が登場

英国LINN社が2007年に発売を開始した「 KLIMAX DS(当時約300万円) 」を中心に、海外市場や国内のハイエンドユーザーの間では既に注目されていたネットワークオーディオ。そんな中、国内のネットワークプレーヤー市場の草分け的存在となったのが、2011年秋に発表されたPIONEERの『 N-50 』『 N-30 』でした。それまで、海外のハイエンド製品に偏っていたネットワークプレーヤーですが、普及価格帯の製品を待ち望んでいた音楽ファンを中心に注目を集め、特に『 N-50 』は一時期、品切れを起こすほどの大ヒット商品となったのでした。

両機はいずれも、前面パネルのカラー液晶画面を見ながら本体で選曲できることに加え、スマートファンやタブレットからも操作できるなど、それまでのパソコンやリモコンで行っていた選曲や操作から解放されるという、新しい操作方法を提案したのです。その後、PIONEER以外のネットワークプレーヤーに多大な影響を与えることになった画期的なプレーヤーでもありました。さらにPIONEERは、発売後も何回かのファームウェアの無料バージョンアップを実施して、両機を最新鋭機に進化させてきたのです。

あれから3年。DSDをはじめとしたハイレゾ音源が一般化したことに加え、国産でも普及クラスのネットワークプレーヤーが続々と発売された結果、さらなる上級機を望む声が徐々に大きくなり、それに呼応する形で、PIONEERは大きくグレードアップさせた中高級機『 N-70A 』『 N-50A 』を完成させたのです。これにより、同社のラインナップは『 N-30 』を加え、3機種となりました。今回は、その中の最上位機種である『 N-70A 』の実力と、充実した機能をクローズアップします。

従来機との比較

同社の従来機は、192kHz/24bitのPCM音源にのみの対応でしたが、『 N-70A 』では5.6MHzまでのDSD音源にも対応したことが最大の注目すべき点です。『 N-50A 』はUSB接続時のみの対応ですが、『 N-70A 』では本来の用途であるネットワーク再生時においてもDSD(DSF/DIFFファイル ※)の再生を可能としています。PCM音源では、ネットワークで192kHz/24bit、USB入力で384kHz/32bitという現時点での最高スペックを達成しています。再生フォーマットも、FLAC/WAV/AIFF/Apple Lossless/MP3/WMA/AACに対応しており、ギャップレス再生(1つのオーディオファイルの終わりと次のオーディオファイルの始まりの間にポーズが入らずに再生できること)もFLAC/WAV/AIFF/Apple Losslessで実現しています。
※ネットワークでDSDを再生するためには、DSDに対応したサーバー(NASなど)が必要です。

外観は、前面のディスプレイが2.4インチから3.5インチと大きく見やすくなり、情報量は格段にアップしました。


ESS社のDACチップ「9016S」を2基搭載

回路面では、DACチップを従来の旭化成「AK4480」から変更して、人気のESS「9016S」を2基搭載。8chパラレル駆動としており、S/Nの向上や音質のグレードアップが大いに期待されます。DACチップを変更したことで、同社のUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ『 U-05 』にも採用された機能が追加されています。その一つの「ロック・レンジ・アジャスト」機能は、DACのロックレンジ精度を7段階に調整(音が途切れる前段階に)することで、ジッターを軽減してより正確な信号再生による音質の向上を実現できます。また、デジタルフィルターのモードを「SHARP」「SLOW」「SHORT」から選択できる機能で、リスナーの好みに合わせて切り替えることで、同一曲で違う味わいが楽しめます。そして、作品の魅力をそのまま味わう「ダイレクトモード」に加え、ビット拡張を行う「Hi-bit32 Audio Processing」機能と、最大384kHzまでアップサンプリングできる「Up Sampling」機能を搭載しており、音源をハイレゾリューション化することで、微細な音のニュアンスを楽しむことができます。これらの機能を組み合わせることで、同一音源を色々な音質で楽しむことができ、ご自分の好みのサウンドが実現できるかも知れません。

技術者のこだわり

上級機として、アナログ部分の回路設計はもちろん、筐体設計にも技術者のこだわりを感じさせます。

回路的にはハイエンド機器との使用を想定して、DAC以降のアナログ回路はフルバランス設計とし、デジタル回路とアナログ回路専用の電源トランスとして、デジタル回路の干渉を抑えた完全分離設計としています。さらに、アナログ用トランスは、発生する不要な電磁波を銅メッキと制振塗装を施したシールドケースとし、ケース内にもエポキシ系樹脂を充填することで、ノイズや振動から隔離できた結果、ダイナミクスと静寂性が両立し、S/Nや音質は格段の進歩を遂げています。


低重心・高剛性の筺体

筐体は、デジタル電源、デジタル回路、アナログ回路&電源という完全な「3分割シャーシ構造」を採用し、剛性高め、底辺から筐体をしっかり支えるために、重量級の「リジッドアンダーベース」を採用しています。シャーシをより強固な2重構造とすることで、極めて高い制振性とともに低重心化も実現したため、総重量は12.5kgにも達し、外部振動によるノイズの発生を抑え安定性を確保しています。

外部のUSB HDDにも対応

従来機と同様、ホームネットワーク上に接続されたPCやNASなど、LAN接続によってDLNA1.5に準拠したメディアサーバー内のすべての音楽ファイルを自在に再生可能ですが、これらに加えて、外部USB-HDDの接続にも対応しています。その際、楽曲情報をもたないWAVファイルの再生でも、同一フォルダ内にデータを保存することで、アルバムアートをはじめ、アーティスト名、アルバム名の本体表示が可能となったことも大きなメリットです。

さらには、USB-DAC機能でのジッター低減機能である「アシンクロナス転送」、デジタル出力の「ON/OFF機能」、今や必須の「AirPlay」や「インターネットラジオvTuner」、「高品位ヘッドホンアンプ」を搭載。スマホで快適な操作を実現した新「ControlApp」もお使いいただけます。

音質的には?

音質的には、USB-DACとしての使用時に限定させていただきますが、DSD音源の透明感や空間感はさすがに入門機とは違い、アナログ回路の充実や筐体の大きさから来る余裕や徹底的な振動対策の効果が出ていると感じました。PCM音源では、超低域の伸び、中高域のキレの良さは抜群で、いい意味での鮮度感の高いPCMらしさを味わえる音質です。これらはESS製のDACの採用も大いに貢献していると感じました。

お買い得なネットワークプレーヤー

今回取り上げた『 PIONEER N-70A 』は、PIONEERのこの3年におけるネットワークプレーヤーやUSB-DACの開発ノウハウの蓄積が具現化した超お買い得機であると断言いたします。ぜひ、ご購入をご検討ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

人気ブランドDALIから、スピーカーの新シリーズ「 RUBICON 」登場!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
今回ご紹介する、DALIのスピーカー新シリーズ「 RUBICON (ルビコン) 」は、2007年に日本へ導入された、従来機の「 MENTOR (メントール) 」に代わる、新たな中級シリーズです。最上級シリーズ「 EPICON (エピコン) 」の開発で得られた技術的なノウハウを、中級機に移植したともいえる、充実した内容です!


シリーズ名「 RUBICON 」の由来

シリーズ名である「 RUBICON 」は、イタリアのルビコン川に由来して命名されたとのことですが、筆者は当初デンマークで設計・生産されたスピーカーなのに何故?と疑問に思っていました。聞くところによると、ジュリアス・シーザーの故事「ルビコン川を渡るような覚悟で臨む」(元に戻れない:RUBICONを一度聴くと元に戻れない)に由来してこの名前が付けられたそうです。

「 RUBICON 」シリーズに使用されているユニットは全て新開発!

最上級シリーズ「 EPICON 」に続いて、完全自社製の6.5インチ(165mm)ウーハーユニットをシリーズ全てに採用しています。そのウーハーには「リニアドライブ・マグネットシステム」を採用。一見すると従来からDALIが採用しているウッドファイバー・コーンと同じに見えますが、中味は大きく違っています。

「 EPICON 」同様、磁気回路のポールピース(マグネットを挟んだドーナツ状のヨーク中央にある、導磁率の高い鉄製の円柱のこと)部に、「SMC材(ソフト・マグネティック・コンパウンド)」を採用しています。

これは、コンパウンド状の砂鉄一粒ずつに、化学コーティングすることで、透磁性を維持しつつ電気的な絶縁性を確保するとともに、さらにスリット入りのカッパーキャップを装着して、磁気回路に起因する歪を徹底的に低減し、アンプなみの歪特性を実現したのです。

コーン紙も「 RUBICON 」用に新たにチューニングを施した「ウッドファイバーコーン」を採用。その特徴でもある軽量・高剛性、さらにエッジのゴム素材をも吟味することで、低損失で微細な信号をもれなく再現します。

ブックシェルフタイプの「RUBICON2」を除き、「 RUBICON 」シリーズには、DALI自慢の「ハイブリッド・ツイーター・モジュール」を搭載しています。

これは従来機のMENTOR系ではなく最上級機の「 EPICON 」の直系で、アルミダイキャストのベースに、新開発の29mm大口径(従来機は25mmや28mm)のシルクドーム・ツイーターを採用。低域特性が向上し、ウーハーとの繋がりが従来機よりスムーズになったとのことです。さらに同社高級機の代名詞ともなっている「リボンツイーター」は、再生上限を34kHzと欲張らず、実用帯域内を重視したものとしています。

エンクロージャーは、ウーハーとツイーターの動作を最適化するため、非常に堅牢な構造となっており、高強度のMDF材採用、補強(ブレーシング)による鳴きを排除しています。ミッドレンジとウーハーを各々専用チャンバーで分離し、さらにウーハーのすぐ後に専用のバスレフポートを設けることで、それぞれ他ユニットの影響を回避しています。

カラーは、マット仕上げで突き板の木目を生かした「ウォールナット」「ロッソ」と、ピアノを彷彿とさせる光沢仕上げの「ブラック」の3色からお部屋に合わせてお選びいただけます。

※画像はRUBICON2です。カラーは左から「ウォールナット」「ロッソ」「ブラック」となります。

「 RUBICON 」の2モデルを当社日本橋1ばん館で試聴しましたのでご報告します


試聴は、2ウェイブックシェルの「RUBICON2」と、2・1/2+1/2(本来の2ウェイに超低域と超高域を増強)のトールボーイ「RUBICON6」を、プリメインアンプのDENON「PMA-SX1」に接続して、試聴しました。また、私の試聴の基準(リファレンス)であるアキュフェーズのハイエンドセパレート「C-3800」と「A70」の組み合わせでも聴いてみました。

「RUBICON2」は、筐体が大きくなるのを避けるため、前述の「ハイブリッド・ツイーター・モジュール」は敢えて採用せず、高域は29mmのソフトドームだけとしていますが、超高域(26kHz)再生のため再チューニングが施されています。低域は箱の大きさから想像するよりもかなりしっかりしたもので、スケールの表現もブックシェルフらしからぬものでした。ボーカルの口はかなり小さめで、ブックシェルフならではのメリットが大いに感じられました。

まだ、エージング不足の感もあり(箱から出した新品)高域は少しかためでしたが、その分高域方向へはよく伸び、透明で、シンバルも生々しく再現され、ギターの弦の張り具合や胴鳴りまでも感じられるサウンドでした。

「RUBICON6」は、さすがに大型のエンクロージャーにダブルウーハー、さらにリボンツイーターが加わった効果は圧倒的で、帯域バランスが整い、歪み感の少ないニュートラルなサウンドでした。

超高域がスムーズに伸びた結果、透明度が非常に高く、特にアコースティック系はナチュラルで、立体感・奥行き感を伴った豊かな響きが再現されました。低域はさすがにたっぷり雄大で、しかもしなやかで滑らかなものでした。ボーカルは特に自然で、マイルド感は超ハイエンドのスピーカーにも引けを取らないレベルに感じました。しかもエンクロージャーが大きい割には、ボーカルがピッタリ中央に定位し、口も大きくなることはありませんでした。

まとめてみました

その他、「RUBICON5」「RUBICON8」を含めた「 RUBICON 」シリーズに一貫した音質傾向は、ズバリ《 ナチュラル 》です。同社のロングセラーの人気機種「 HELICON (ヘリコン) 」に勝るとも劣らない包容力のある温かいサウンドです。音に対峙した聴き方をされるオーディオファイルにではなく、音楽をゆったりとじっくり楽しみたいという“音楽ファン”にこそお勧めしたいスピーカー「 RUBICON 」の登場です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

ELACのベストセラー「BS192」の特別バージョンに大注目!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
ELAC(エラック)のベストセラースピーカー「BS192」の特別バージョン『 BS192 MEISTER EDITION 』は、去る10月10日に実施された音元出版主催「オーディオ銘機賞」審査会での小型スピーカー部門選考の席で、20万円に満たない価格にもかかわらず、オーディオ評論家諸氏が絶賛されていたスピーカーです。本日は、その出来の良さを多くの方に一刻も早く知っていただきたく、取り上げることにしました。


ELACというメーカー

ELACは、旧西ドイツ時代の1970年代中頃、米国シュアーと並ぶMM型カートリッジの名門メーカーとして、日本国内のオーディオ市場で一世を風靡しました。私も当時ベストセラーであった「STS-455E」、さらにその上級機「STS-555E」を所持し、女性ボーカルやストリングス再生用のリファレンスカートリッジとして、使用していました。元々ELACは、戦前の1926年創業で、潜水艦などに使われるソナーなどの超音波探査技術の会社で、戦後は1948年からのオートチェンジャーのプレーヤーがスタートのようです。

前述のカートリッジは、1982年のCD登場により次第に市場が縮小し、ついに1997年には生産中止に追い込まれました。しかし同年、ELACは不死鳥のようにスピーカーメーカーとして日本国内に紹介され、復活を果たし(本国ドイツでは既に1980年代から開発は進められていた)、今日に至っているのです。その第一弾が「CL310JET」で、当時そのサウンドの透明感、エンクロージャーの小ささから来る凝縮感は画期的でした。その後、数々のヒット作を生み続け、現時点での「BS314」まで、その技術は練り上げられてきています。そして、さまざまなバリエーションのスピーカーを生みだし、数万円~200万円を超える大型機まで、一貫した思想の基(もと)に開発が続けられています。

特別バージョン『 BS192 MEISTER EDITION 』

今回取り上げる『 BS192 MEISTER EDITION 』は、同社のエントリークラス「70LINE」の1クラス上にあたる中級機「190LINE」のブックシェルフ型スピーカーになります。同社のブックシェルフ型の区分は、前述の「BS314」とさらにその小型の「BS312」は、JET-Vといわれるリボン・ツイーターと、AS-XRのいわゆるクリスタル・ウーファーの組み合わせに、アルミ製のエンクロージャー。そのエンクロージャーを木製としたのが「BS403」と「BS263」。ウーファーを一般的なアルミニウムとペーパーのハイブリッド構造としたのが「BS192」。そして、ツイーターをJETではなくソフトドームとしたのが「BS73」「BS72」となっています。

そのELACのテクノロジーが詰め込まれた最新ユニットと、コントラクションを持ちながらリーズナブルで人気の「BS192」を、ELACの経験豊富な技術者が、細部をもう一度煮詰め直してバージョンアップしたのが、今回ご紹介する『 BS192 MEISTER EDITION 』なのです。

ノーマルモデルからの変更点

①ツィーターにJET-Vのextra versionを搭載
フロントのギャップ(振動板が見える穴)が5ギャップから、上級機「BS263」に採用されている4ギャップになり、ウーファーとの繋がりがよりスムーズになったようです。ツイーターのリングには、「MEISTER EDITION」のロゴが印刷され、特別仕様であることが強調されています。

上部に「MEISTER EDITION」と印刷されている

②ネットワーク回路のグレードアップ
上級機「BS312」で採用され、実証済みのハイパワー・エアー・コイルといわれる空芯コイルを「190LINE」として初めて採用。ネットワーク基板を高品質なブラック・サーフェスとし、内部配線には高級ケーブルのヴァン・デン・ハルのスカイラインを採用しています。

③ボトム・エミッション(バスレフポートを底面に配置)技術の改良
ボトム・エミッションの核となるバスレフポートのデザインをニュータイプに変更。低音の放射角が広くなったことで、大音量時のベンチレーション(空気の抵抗による)ノイズが減少したことで、よりナチュラルな低域を実現したのです。

④エンクロージャーの仕上げ
ノーマルモデルの艶なしマット・ブラックから、光沢の美しいハイグロス・ブラックに変更され、同社の最上級機にも匹敵する仕上げとなっています。また、リアパネルのシルバープレートにはモデル名とシリアルナンバーが表記されており、その細部にこだわった仕上げはオーディオファイル(AudioPhile)の所有欲をそそります。また、品質管理項目を全てクリアしたことの証明書(社長であるウォルフガング・ジョンのサインとシリアルナンバー)も同梱するという念の入れようです。

音質は?

今回は、『 BS192 MEISTER EDITION 』とネジ留めが可能な別売の専用スタンド「LS30 HB」を使用して試聴しました。

まず透明感があり、音色的な付帯音のない、その素直なサウンドに釘付けとなりました。特に2つのスピーカー間はもちろん、その外側まで広がるサウンドステージは、どこにも強調感のない、実にナチュラルな響きと余韻の豊かさがあり、しかもスピード感や鮮度感を失わないリアルなサウンドが非常に心地良いものでした。

また、そのコンパクトさ故の非常に良好な定位や音像のフォーカス感は、さすが小型ブックシェルフを作りなれたELACならではと感じました。ボーカルの滑らかさ、弦楽器のしなやかさはELACスピーカーのイメージそのもの。さらに、今回の低域の改良によって低音が深く沈み、音程が明瞭で骨格がしっかりしており、ジャズの生々しさや歯切れの良さまで再現し、伸びやかで躍動感たっぷりのサウンドをも十分再現してくれました。

このコストでこれだけのサウンドが実現されたことに、オーディオ評論家諸氏が絶賛されていたことに大いに納得した次第です。ニア・フィールド・リスニングはもちろん、6畳程度の一般的なお部屋でこそ、その真価を発揮すると思います。小型ブックシェルフ型スピーカーをお探しなら、最有力候補にしていただきたいスピーカーです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

ジェフローランドのセパレートアンプの実力とそのサウンドの魅力!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
先日、ジェフローランドの比較的リーズナブルなプリアンプ「Capri S II」と、2014年の夏に発売されたパワーアンプ「Model 125」の組み合わせで、じっくり試聴する機会がありました。時間が経つのも忘れて、聴き惚れてしまうほど素晴らしかったので、今回は、ジェフローランドが持つ『 魅惑のサウンド 』について、ご紹介します。


ジェフローランド( Jeff Rowland Design Group )というメーカーについて

創業者であり、同社の代表でもある Jeff Rowland は、アメリカ テキサス州ダラスの技術専門学校において基礎的な電気技術を習得した後、業務用機器の名門「アンペックス社」に就職して、入力信号の処理に没頭しました。

1984年に独立し、「Rowland Research社」を立ち上げますが、大阪市のコンピューター楽器メーカー「ローランド」と混乱を避けるため、合意の上、社名を現在の『 Jeff Rowland Design Group (略して、Jeff Rowland D.G.) 』に変更しました。

日本では、1986年に「Model 7」でデビューを果たした後、プリアンプ「Synergy」「Coherence」、パワーアンプ「Model 2」「Model 6」などのヒット商品を矢継ぎ早に発表。米国ハイエンドを象徴するブランドとなったのです。

辿り着いたのは『 静かなアンプ 』

同社は、音楽のエッセンスをそのまま届けたいという理想に燃え、他のオーディオメーカーには及びもつかない数々のアイデアで、最先端技術と旧来の技術の融合を図った製品開発をしてきました。

例えば、ハードアルミ(ジュラルミン)の塊から削り出したシャーシは、振動と有害電波から内部の部品を守り、さらに、インプットターミネートトランスを搭載してラジオ周波の混入による音質劣化を防止しています。また、回路基板には表面実装パーツを多岐にわたって使用し、MIL規格(米国国防総省が制定した軍事規格)の組立工場で厳格な品質・工作管理の下に作られ、基板を小型化することで短距離シグナルパスを実現して、外部電磁波からの影響を低減するなど、アンプの低雑音化(S/Nの向上)を当初から追求してきました。

Jeff Rowlandは『 音楽には色があり、その色の豊かさを再現したいという考えから、再生音はあくまでナチュラルで、聴く人の心を癒す音楽 』を目指しています。そのためのアイデアは自然との対話によってひらめき、そのアイデアを具現化するために、さまざまなメーカーや技術者との交流を大切にして、豊かな音楽をどなたにでも味わえるような機器の開発を目指してきました。その結果、導き出した結論は《 S/Nの追求 》、すなわち《 静かなアンプ 》だったのです。

Jeff Rowland氏との思い出

私は、Jeff Rowlandご本人と過去に2度お会いしています。それは、1997年と1999年です。彼は、身長2メートル近い細身の大男で、非常に真面目な、いかにも技術者といった雰囲気の好人物でした。

1回目(1997年)にお会いした時は、前年に「Synergy」が発売された直後でもあり、プリアンプに搭載されているライン入力側の「インプット・トランス」が、現在の著しいノイズ環境からアンプ内部を守るために最も効果的であり、音質の飛躍的な向上に繋がったというお話だったと記憶しています。

2回目(1999年)は、スイッチング電源を同社として初めて搭載した「Model 10」の発売直前というタイミングでした。当時(今でもそうですが)、ハイエンドオーディオの世界において、高い評価を受けているパワーアンプの殆どは大型重量級の製品ですが、彼は以前から、スモールサイズの最高性能のパワーアンプを造りたいというアイデアを持っていたそうです。完全主義者の彼を納得させるだけの高い性能と品質レベルをもった部品が航空宇宙・軍用として開発され、当時の最新テクノロジーと彼のアンプ造りのフィロソフィーや感性によって、小型で、かつてない最高レベルのパワーアンプをついに開発出来たというお話でした。

それから15年、ジェフローランドの最新鋭機、しかも比較的リーズナブルな製品が、いかに進化を遂げたかを確認するのが、今回の試聴の大きな目的でもありました。

日本橋1ばん館 リファレンスルームでの試聴

試聴は、エソテリック SACDプレーヤー「K-07」に、ジェフローランドの「Capri S II」と「Model 125」の組み合わせが基本で、各種スピーカーを切り替えて行いました。また、「K-07」と「Capri S II」の間に価格的にはアンバランスですが、ジェフローランドのD/Aコンバーター「AERIS DAC」を使っての試聴や、パワーアンプ「Model 125」をBTL接続のモノラルアンプとして2台使用した試聴も実施しました。

プリアンプ「Capri S II」は、同社の上級モデルに搭載されているルンダール社製の入力トランスを左右独立で使用することで、高周波・電磁波ノイズ対策を徹底するとともに、一新されたコンパクトな回路基板に高精度なパーツを搭載し、さらなるハイスピード化を実現しています。また従来機と同様に、ハードアルミのブロックから削りだしたモノコックボディが、外部振動(オーディオ信号は振動により変調され歪みとなる)から内部の部品を守ると同時に、電磁波などの有害電波の侵入を防いでいます。

パワーアンプ「Model 125」は「Model 102」の後継機で、これもハードアルミのブロックから削りだされた非常にリジッドな造りで、パワーアンプで重要な熱伝導・熱拡散性に優れ、プリ同様、外部振動やノイズからのシールド効果も高くなっています。本機にもルンダール社製のインプットトランスが搭載されており、さまざまな入力機器に対して最適なインピーダンスマッチングが取れ、グランドループを遮断することで、外部ノイズの侵入を回避しています。増幅素子には最新型の「ICEパワー」が搭載され、125W×2の出力をこの小さな筐体で実現。さらに、リアパネルのスイッチを切り換えてBTL(ブリッジ)接続することで、実に500Wのモノラルアンプにできるのです。

試聴結果

まず、その大きさ・規模からは想像できない本格的なサウンドでした。音楽のベースである低域が非常にしっかりした実にリアルなもので、深く厚く再現されました。音像は非常に立体的で、ボーカルでは歌手の大きさが判るほど。口も小さく、リファレンスルームのスピーカー後方にある、2枚の衝立状ルームチューニングパネルの隙間から、ボーカルが聞こえてきました。ストリングスは伸び伸びとした滑らかなもので、どこにも引っ掛かりを感じません。ギターのソロでも弦の張り具合、低域の胴鳴りも生々しいものでした。非常にハイスピードで立ち上がりが素晴らしく、サウンドが実に軽やかで、大音量でも決してうるさく感じることはありませんでした。

そして、「Model 125」をBTL接続の500Wモノラルアンプとしての印象は、エネルギー感が圧倒的で、ダイナミックレンジがソフトに入っているままに再現されていました。頭を押さえつけられた所が微塵もない、実に伸びやかで自然なサウンドに、時間が経つのも忘れて聴き惚れてしまいました。この大きさのオーディオ機器で、このサウンドが実現できることに改めて感動しました。

設計者である Jeff Rowland の創業当時からブレない姿勢、『 音楽には色があり、その色の豊かさを再現したいという考えから、再生音はあくまでナチュラルで、聴く人の心を癒す音楽 』が、確実に具現化したサウンドといえるのではないでしょうか。国産アンプでは再現できない、この『 魅惑のサウンド 』こそ、《 アメリカ・ハイエンド 》の神髄です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

フラッグシップ機にも匹敵する、LUXMANのアンプ「C-700u」「M-700u」の魅力に迫る!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
新春第一弾の今回は、音元出版主催「オーディオ銘機賞2015」で銀賞を獲得した、LUXMANのセパレートアンプ「C-700u」「M-700u」を取り上げます。

今年(2015年)、創業90周年を迎える老舗LUXMAN《ラックスの歴史》が、トップモデル 900シリーズの技術ノウハウを継承しつつ、ミドルクラスまでコストダウンしながらも、そのエッセンスやサウンドテイストを届けるべく、音楽ファンや経験の長いオーディオファイル向けに開発した、完成度の高いセパレートアンプがコントロールアンプ「C-700u」とパワーアンプ「M-700u」です。

このペアは、2007年発売の「C-600f」「M-600A」の後継という位置付けではありますが、その内容は2013年12月に発売された「C-900u」「M-900u」のハイコストパフォーマンス版ともいえるお買い得機でもあります。

両機とも筐体は、900シリーズと同じブラスターホワイトの高級感のある素敵な外観を継承しており、持つ人に歓びを与える魅力的なデザインといえます。

コントロールアンプ「C-700u」

このアンプは、フォノイコライザーを持たない純粋なコントロールアンプで、コントロールアンプとして最も“肝”といえる音量調整回路に、最上級機「C-900u」と同様の電子制御によって固定抵抗を切り替える高精度なアッテネーターと増幅回路を一体化した「新LECUA1000」をアンバランス構成で搭載しています。この音量調整機能は、LUXMAN 80周年記念として開発されたフラッグシップモデル「C-1000f」で初めて採用された、LECUA(Luxman Electric Controlled Ultimate Attenuator)1000をさらに進化させたものです。

この方式は、外来振動の影響や従来型のボリュームでは避けられないボリューム位置による音質の変化が極めて少なく、また耐久性にも非常に優れているもので、ステップ数は88もあり、0から-87dBまで、音質を劣化させることなく音量調節を可能にしたのです。フルバランス構成の「C-900u」では、この新LECUA1000を並列に4基搭載していますが、本機はアンバランスアンプ構成のため2基の搭載となっています。バランス接続にこだわりがなく、アンバランス接続の方に魅力を感じているオーディオファン(私もその一人で、接続ケーブルなどによる音質変化がより楽しめるため)には、こちらの方がコストダウンのメリットが大きいともいえるのではないでしょうか。

その他の機能としては、トーンコントロールやバランス調整は本体のみの操作ですが、ラインストレート、出力モード、さらにバランス位相切替、音量連動式のラウドネスなどはリモコンでの操作が可能です。そして、外部プリ入力端子、ズームおよびディマー機能付きFLディスプレイなど、オーディオシステムのコントロールセンターとしても十分な多機能も備えています。

パワーアンプ「M-700u」

このアンプは、フラッグシップの「M-900u」の設計思想を継承して、高いスピーカー駆動力を獲得しています。特にパワーアンプでの“肝”である歪特性とS/N性能を大幅に改善するODNF(Only Distortion Negative Feedback)回路の最新バージョン 4.0を採用。3段ダーリントン4パラレルプッシュプルのモジュール回路を「M-900u」の片チャンネルあたり2基から各チャンネル1基にスケールダウンはしていますが、プッシュプル回路のバイアスはAB級で、6W/8Ω出力(通常のリスニングではほとんどこの領域)まではA級動作としています。また、最大出力は120W/8Ωから瞬時最大960W/1Ωまで、完全な理論通りのパワーを叩き出すリニアリティを有しています。これにより、低能率スピーカーをはじめ、いかなる負荷条件下においても、スピーカーの特性を存分に引き出すことができると言えます。

この出力段を支えているのはクラスを超えた強力な電源で、590VAの大型EIコアレストランスに、左右それぞれに10,000μF×4という大容量のブロックコンデンサーで構成されています。さらに、極太配線や大容量のリレーを採用した結果、超ローインピーダンスが実現し、ダンピングファクターも実に350を獲得したのです。これにより、音楽のダイナミズムを損なうことなく、豊かな音楽表現とハイパワーを兼ね備えた新世代のステレオパワーアンプとなったのです。さらに、BTL接続をすることで、480W/8Ωのモノラルのハイパワーアンプ化も実現できます。

試聴しました

先日、日本橋1ばん館4Fのリファレンスルームで、「C-700u」と「M-700u」を組み合わせての試聴を行いました。SACD/CDプレーヤーには同社の「D-06u」、スピーカーにはB&W「802 Diamond(802SD)」他、数機種切り替えて試聴しました。

まず感じたのは、その緻密なサウンドです。これはノイズフロアの低さゆえに実現できた音の透明感の結果だと思います。とにかく静かなアンプなのです。これはボリューム「新LECUA1000」が効いていると思います。この結果、音離れが良く、見通しの良い音場空間を再現し、音像も眼前に立体的に浮かび上がりました。特に奥行き方向が深く、ホールの大きさまでも感じられました。これらはコントロールアンプ「C-700u」の持ち味が好結果を生んだものと思います。

また、パワーアンプ「M-700u」の強力な電源の効果から、B&Wをはじめとした一般的には鳴らし難いとされているスピーカーでも、歯切れ良く振動板を正確に動かすグリップ力の高さが実感できました。しかし、決して出しゃばるような鳴らし方ではなく、どちらかというと我々が過去から認識している、いわゆる「ラックストーン」といわれる、穏やかと豊潤さを兼ね備えたナチュラルなサウンドです。これこそ、オーディオ経験の長い方ほど好まれる音質傾向ともいえます。また、ボーカルの瑞々しさ、特に小音量時(A級動作領域)でもぼやける事のない繊細感は出色です。

この「C-700u」と「M-700u」は、今年こそプリメインアンプをそろそろ卒業して、本格的セパレートアンプに足を踏み出そうとお考えの方にこそお勧めです。また数年計画で、コントロールアンプかパワーアンプのどちらかからグレードアップすることも一度お考えいただきたいと思います。低能率なスピーカーをお持ちで、そのスピーカーを存分に鳴らしてみたい方は「M-700u」を、デジタル音源のダイナミックレンジを生かしたい方は、静かなプリアンプ 「C-700u」をまずお考え下さい。

プリメインとセパレートの表現力の違いこそ“オーディオの真骨頂”です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

プリメインアンプの最高峰 アキュフェーズ「E-470」

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
今回は、アンプの王道を行く、アキュフェーズ「E-470」を取り上げます。音元出版主催「オーディオ銘機賞2015」で銀賞を獲得したプリメインアンプの最高峰です。

アキュフェーズというメーカーについて

ラックス(LUXMAN)とともに、国内2大ハイエンドオーディオメーカーであるアキュフェーズ(Accuphase)。その歴史は、さすがにLUXMANの90年には及びませんが、Accuphaseも今年創業43年を迎えます。
創業当初の1973年に発売した製品は、プリアンプ「C-200」、パワーアンプ「P-300」、チューナー「T-100」と、アンプはセパレートアンプからのスタートでした。

翌年にはプリメインアンプ「E-202」を発売しましたが、セパレートアンプほどのインパクトはなく、その後、デザイン的にも試行錯誤が続きました。そんな中、創業15年目の1987年に爆発的人気機種となった「E-305」が登場しました。

そして、その2年後の1989年に「E-305」を更にあらゆる面で強化した「E-405」を発売しました。「E-405」の後継機は、1993年に「E-406」として登場。1996年には「E-406V」、1999年の「E-407」、2003年の「E-408」、2007年の「E-450」、2010年の「E-460」へと引き継がれ、2014年11月に更に完成度を高めた「E-470」として、登場したのです。

アキュフェーズサウンドの本命「E-470」

アキュフェーズは、創業当時から一貫している《 大出力によるダイナミックなサウンド 》を目指すアンプ群と、1987年発売のパワーアンプ「P-102」や1991年発売の「A-100」から始まる純A級パワーアンプ(1979年発売の「P-400」はA級/B級切替式)による《 クォリティ重視のサウンド 》を目指すアンプ群との2系統を有しています。

今回取り上げる「E-470」は、アキュフェーズサウンドの本命ともいえる《 大出力によるダイナミックなサウンド 》を目指したプリメインアンプです。

「E-470」は、従来機「E-460」に同社の最新コントロールアンプやパワーアンプで開発された新しいテクノロジーと最高グレードの素材を投入して、フルモデルチェンジしたともいえるほどにグレードアップしています。外形寸法やスペックだけを見ると大きな変化はないように見えますが、最新技術の投入によって音質はもとより利便性においても一層の進歩が見られます。主な改良点は、S/Nの改善とダンピングファクターの向上です。

プリ部で最重要なボリュームコントロールには、音質劣化の最大の原因である可変抵抗を使わないAAVA方式を採用。使用頻度の高いボリューム位置であるマイナス30dBで、実に4dBもS/N比を改善できたとのことで、このうち2dBはこのAAVA部で、あとの2dBはパワーアンプ部の低雑音化によるものです。

さらに、パワー部には、これも同社の最高級機に採用され、高い安定度を実現したインスツルメンテーション・アンプ構成を採用。回路やNFB(負帰還)経路の見直しで、スピーカーの駆動力を高めるダンピングファクターが従来比2.5倍の500以上という、プリメインアンプとしては驚異的な数値を実現しています。

具体的には、NFBをバランスモードリモートセンシング化(スピーカー端子の直近から帰還をかけると同時に、グラウンド側からも帰還かけること)で低インピーダンス化を実現したこと。プロテクション回路にもメスが入れられ、超低抵抗のMOS-FETを採用した無接点スイッチに置き換えたこと。これらが合わさり、ダンピングファクターが従来機「E-460」の200に対して、500を達成できたのです。これらにより、信頼性はもちろん、音質も大きく向上しました。

「E-470」には「E-460」になかったプリ出力とパワー入力としてXLRバランス端子が新設され、将来のグレードアップにも対応しています。また、パワーアンプを追加することでのバイアンプ化も可能としています。音質重視のヘッドホンアンプの装備、同社お馴染みのアナログ式パワーメーターに加え、音量レベル(AAVAの減衰度)を数値でパネル中央部のディスプレイ部にも表示できます。

今や、リスニングルームの補正のための必須機能であるトーンコントロールも、音質重視の加算型アクティブフィルター方式を採用していますが、完全なバイパス機能ももちろん装備しています。

リアパネルには、オプションスロットが2系統あり、アナログファンにはフォノイコライザーボード「AD-30」を、PCオーディオを始めたい方にはUSB(192kHz/24bitまで対応)をはじめデジタル入力を3系統装備したデジタル入力ボード「DAC-40」がオプションとして準備されています。

使う人にとって不必要な機能はあえて省略することで、内部の充実にすべてコストが投入でき、よりコストパフォーマンスの高いアナログオーディオの更なる可能性を追求した《 ハイエンド・プリメインアンプ 》の完成となったのです。


さて、その音質は?

今回も、日本橋1ばん館の試聴室で従来機「E-460」との比較試聴をしてきました。

まず感じたのは、その静けさです。万全な防音対策がなされているとは言い難い店頭の試聴室であっても、その差は歴然でした。それは、無音状態からいきなり演奏が始まるのです。言葉で表すと、ザワザワ感や濁りのないサウンドとも言い換えられると思います。とにかく、目の前の空間にクッキリと演奏者が浮かび上がるのです。輪郭が鮮明で、陰影も描き分ける実にコントラストの高いサウンドです。

また、小音量楽器も一つ一つが確認できるほど、鮮明に分離します。一方、大音量時にも破綻することなく、その解像度の良さは完全に維持できているのです。この立ち上がり・レスポンスの良さは、ダンピングファクターが大いに寄与していると思われます。高域再現性は、精度の高いみずみずしいもので、ヴォーカルの滑らかさや艶やかさ、湿り気のある質感は、かつてのB級アンプのイメージとは雲泥の差と言えます。

このパワーと質の両立こそ、アキュフェーズ43年の《 ノウハウの塊 》ともいえるのではないでしょうか。良い音で楽しみたいけど、セパレートアンプまでは必要ないかな?…とお考えのオーディオファイルの皆様には、ピュアオーディオの最終到達点として、自信を持ってお勧めできます。

まさに、アンプの王道を行く、硬軟両刀使いの《 プリメインアンプの最高峰 》です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

SAECの“PC-tripleC※”ケーブルのC/Pの高さは抜群!

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あさやん「担当者のコメント」 by asakura

★ラインケーブル「SL-1980」、切り売りSPケーブル「SPC-850」を自宅で試聴しました。

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    SL-1980        SPC-850 

まずは自宅のUSB-DACとプリアンプの間に1.2mのラインケーブル「SL-1980(1m)」を使いました。従来キンバーケーブルを使用しており、その透明感と滑らかさには特段の不満はありませんでした。しかしスピーカーがブックシェルということもあり、低音の量感に関しては限界を感じておりました。

先にサエクより発売されています「SL-5000」はケーブルの送り出し側(信号の出て行く側)に振動防止装置を装着した高級ケーブルでしたが、「SL-1980」は同じ導体径(7.5平方mm)の“PC-tripleC”を採用しながら、コストパフォーマンスを追求したラインケーブルです。綿糸を介在とした2芯ツイストのシールド構造は「SL-5000」を同じですが、絶縁体にはPVC:ポリエチレン(SL-5000は制振材入り発泡ポリエチレン)、シールドは銅編組みだけ(SL-5000は銅箔シールドと編組の2重シールド)とコストダウンはされています。

しかし、音を出した瞬間ぐぐっと重心が下がり、中低域の厚みも明らかに向上してきました。また透明感も明らかに向上し、ボーカルがクッキリ、楽器の前後感も従来より明瞭になっています。さらに音の見通しが良くなり、音場感、奥行き感も明らかに向上しています。それらは、導体素材として採用された“PC-tripleC”によって導通が良くなり、情報量、特に低域の情報量が増えたことに加え、余分な振動も抑えられた結果、S/Nが改善したからではないかと思います。

次に、スピーカーケーブル「SPC-850」を片チャンネルに1.5mずつ使用して、従来の某社高級ケーブルに替えて使用しました。「SPC-850」は、絶縁材やシースに比誘電率が小さく、振動対策が施された制振材入りのポリエチレンを採用し、太めの導体(3.4平方mm)が使用された同社スピーカーケーブルのフラグシップモデルです。

音出しの瞬間、スピーカーが大きくなったのではないかと錯覚する程に、低域の厚みが増し、重心が下がったのです。しかし、トーンコントロールやスーパーウーファーなどで低域を増強したような不自然さは全くなく、解像度は維持したままで、低域の情報量が明らかに増えています。バスドラは最低域まで伸び、音像がふくれて、ボヤけることも一切ありませんでした。その重量感は明らかに従来とは別次元で、歪みが少なく全くうるささがないため、ついついボリュームを上げてしまいました。本当に音楽が楽しくなったのです。やはり“オーディオ再生の根本は低音の充実である”ということを改めて実感した次第です。

これら“PC-tripleC”を採用したラインケーブルやスピーカーケーブルは、小型スピーカーをお使いの方には、かつてなかった低域の充実を、大型スピーカーをお使いの方は、更に高解像度で充実した低音が実現されます。もちろん中高域の透明度や解像度、そして伸びやかさも維持したままです。“PC-Triple C”の圧倒的な音響性能とS/Nの良さを是非ご自宅のオーディオシステムでお楽しみ下さい。

※PC-tripleC:連続鍛造伸延技術により、信号の伝送を妨げる結晶粒界を極力減らし、結晶と結晶粒界を長手方向に連続化されることにより、優れた導通・音響性能を実現。

 


audio-technica 定番MCカートリッジの最新鋭機『 AT33Sa 』を聴く!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
今回は、audio-technicaのMCカートリッジ AT33シリーズの最新版『 AT33Sa 』を取り上げます。ベストセラー AT33シリーズの集大成として、またシリーズで初めて「シバタ針」を採用したモデルとして、企画・設計された製品です。ちなみに、音元出版主催「オーディオ銘機賞2015」では、銅賞を獲得しています。

MCカートリッジ AT33シリーズの歴史

昨年末、audio-technica(オーディオテクニカ)より、MCカートリッジ『 AT33Sa 』が発売されました。この製品は、1981年に発売されたMCカートリッジの初代機「AT33E」(私も使用していました)をはじめとする、AT33シリーズの最新版としての位置づけになります。

初代機「AT33E」が発売された1981年はまさにCD発売(1982年)の前夜であり、当時はアナログプレーヤーの関連製品が性能的にも市場的にもピークであった時代でもありました。また、オーディオテクニカの創立20周年記念の製品ではなかったものの、この記念すべき時期に開発されたのでした。

この「AT33E」のベースとなったのは、当時ユニークな形状であった円筒に近いヘッドシェル一体構造のカートリッジ「AT34E II」で、それを単体化したものでした。以来、1993年「AT33ML/OCC」、1994年「AT33LTD」、1997年「AT33TPG」、2002年「AT33R」、2007年「AT33ANV」「AT33MONO」、2008年「AT33EV」、2010年「AT33PTG II」と変遷を重ね、今作の『 AT33Sa 』に至ったのです。実に、型番通りの33年を迎えることになるのです。


AT33シリーズは、世界中の多くのアナログファンに愛され続けてきたオーディオテクニカのMCカートリッジであり、その中でも特に愛好者の多い同社のMC型を代表するベストセラーモデルです。シリーズ最大の販売数を上げた「AT33E」、雑誌の基準モデルとしても取り上げられ評価の高かった「AT33ML/OCC」、AT33シリーズの新しい方向性を示した「AT33LTD」、音質評価の高かった「AT33PTG」など、現在に至ってもなお、愛され続けています。長期にわたって進化し続けてきたAT33シリーズの集大成として企画・設計されたリファレンスモデルが『 AT33Sa 』なのです。

ターニングポイントとなった「AT33ANV」

初代機「AT33E」以来、基本的な構造・考え方に大きな変化はないのですが、2007年の「AT33ANV」で初めて、内部インピーダンスを従来の17Ω(ミドルインピーダンス)から10Ω(ローインピーダンス)に変更(これはコイルの巻き数を減らし、振動系を軽くしたと言うことなのですが)されたことで、出力電圧が従来の0.5mVから0.3mVに減少したのでした。

これにより使いこなしが難しくなったわけではないのですが、インピーダンスが同じならば出力電圧が高い方が有利なことには間違いなく、微小信号がノイズに埋もれることなく、情報量がアップすることは確かです。しかし近年、フォノイコライザーのS/N比が向上した結果、あまり問題とはなりませんでした。

「AT33ANV」はある意味、AT33シリーズのターニングポイントともいうべき製品であり、「AT33E」以来、我々オーディオファイルが同シリーズに抱いていた《 切れ込みの良い、立ち上がり重視のシャープで明るいサウンド 》(特にOrtofonとは対極で、ポピュラーやジャズ向きのMCカートリッジ)というイメージから、中低域に適度な厚みを持たせ、温かみも加わった良い意味でのニュートラルなサウンドに変身したのでした。

今回初めて「シバタ針」を採用

最新鋭機『 AT33Sa 』の型番にある「Sa」とは《 シバタ針 》を採用したことを意味し、過去には「AT15Sa」というVM型カートリッジも存在していますが、おそらく同社としてはそれ以来の採用だと思います。

「シバタ針」は1974年当時、日本ビクター(株)の柴田憲男氏が発明した「ラインコンタクト針」の一種で、ディスクリートの4チャンネル再生方式であるCD-4の4chステレオ用のレコード針の形状です。レコード溝に対して接触面が「線状」になるように開発されており、CD-4用のレコードの溝は普通の溝よりもはるかに細かいもので、楕円針や丸針での点接触より、線状接触によって応力が分散され負担が少なくなることで、50kHzまでの再生を可能としたのでした。

一方ラインコンタクト針は、その名前の通り、線状接触面をもつレコード針の総称ですが、CD-4用のカートリッジには各メーカーが「シバタ針」という名称を使い、ワイドレンジ2chカートリッジには「ラインコンタクト針」という名称を使い分けていました。

針先やレコード溝への負担が少なくて寿命が長く、針圧の重いカートリッジにも向きます。ただ、針の取付角度が重要なため、固定しやすいように角柱のダイヤモンドに特殊なカットが必要となり、コストがかかるため高級カートリッジにのみ採用されてきた経緯があります。

今回『 AT33Sa 』で敢えて「シバタ針」を採用したのは、高域再生能力の向上はもちろんですが、中低域を重視して「芯」のあるサウンドを目指した結果だと説明されています。基本構造は前作の「AT33PTG II」を継承しており、カンチレバーは無垢のボロンにテーパーをかけたもので、ダンパーを2重としつつ、振動系などすべての設計を見直したとのことです。

その結果、インピーダンスを10Ωとしながらも、マグネットを高磁力のネオジウムとし、パーメンジュールのヨークを採用したことで、コイルギャップの磁界を強化でき、出力電圧は0.4mVに上昇しています。ボディはアルミ合金ベースに硬質樹脂で共振を抑えた剛体設計としています。また、PCOCCのリード線1セット、取付ビスと非磁性体のドライバー、さらにクリーニングブラシまで付属しています。

試聴しました

今回は、自宅のSME3009S2付きトーレンス「TD126MK3」で試聴しました。

音質傾向は前述の「AT33ANV」以来の音調を、さらにウォームな方向に振ったサウンドで、中低域はかつての「AT33E」の音調とは違ったバランスのとれたマイルド系のもので、中高域は情報量も多く繊細です。

クリアなサウンドはAT33シリーズ系のものではありますが、過去の切れ味を重視したサウンドとは決別したオールマイティで穏やかなものとなっています。また、低域の充実が音楽を豊かに聴かせます。

過去のAT33シリーズのイメージとはまったく異なり、クラシック音楽でも緻密で滑らかな中に、豊かな余韻と明るさをともなったもので、鋭さをまったく感じさせない最上級のリアルサウンドでした。

『 AT33Sa 』に、今や稀少なPCOCCが使えたのは、線材の使用量が少ないカートリッジだからともいえます。従来機に比べ、「シバタ針」による最大の効果は、レコード表面の汚れやキズによるサーフェスノイズだけではなく、音溝に付いたキズに対してもノイズレベルがかなり減少して、S/N比が向上したことが大きいと思われます。これこそ、AT33シリーズのDNAを受け継いだ『 AT33Sa 』の最大のメリットだと思います。

少々高価ではありますが、ファイルオーディオによるハイレゾとは次元の違う《 究極のアナログサウンド 》を目指される方にこそ、お勧めです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

アナログブームの再燃か?オンキヨーが32年ぶりにアナログプレーヤーを発売!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
近頃、若者の間でアナログレコードが注目されている話を見たり・聞いたりします。しかし、それらはほとんどがフルオートプレーヤーでしかもUSB出力が付いた、いわゆる2~3万円までのアナログプレーヤーを前提としての話だと思います。

そんな中、オンキヨーが32年ぶりにアナログプレーヤーを発売しました。ハイレゾが注目され、ピュアオーディオはほぼデジタルに席巻された感のある現時点で、しかも敢えてマニュアルのアナログプレーヤーを発売してきたのです。そのオンキヨーの勇気に対して本当に『えらい』と言いたいと思います。

マニュアルプレーヤーとして発売!

先月発売されたアナログプレーヤー「CP-1050」は、オンキヨーとしては1983年発売の「PX-55F」以来、実に32年ぶりとなるアナログプレーヤーの新製品です。しかもそれは、マニュアルプレーヤーなのです。マニュアル(手動)ですので、レコードに針を降ろす作業はもちろん、再生が終了した後も手でトーンアームを元に戻し、ストップする作業まで必要なのです。それは、実に人間的なものなのです。

そのため、デジタル音源しかご存じない40代以下のオーディオファン・音楽ファンにとっては少々敷居が高い商品と思われます。でも、このアナログプレーヤーを使いこなすことができれば、それはそれは至福のアナログサウンドが味わえるのもまた事実です。

オンキヨーが敢えてマニュアルとしたことで、同価格帯のフルオートプレーヤーより、間違いなくワンクラス上の性能を獲得しているのです。筐体にはスピーカーにも使用され、強固で振動抑制に効果的な「MDF」を採用し、ターンテーブルには本格的な厚みのある高剛性の「アルミダイキャスト」を採用しています。

ダイレクトドライブ方式を採用するなど、随所にこだわりを感じます!

そして、これこそこのクラスでは異例となる「クォーツロックDD(ダイレクトドライブ)方式」が用いられているのです。近年発売されるアナログプレーヤーは、国内外問わずほとんどがベルトドライブ方式なのにです。

ベルトドライブ方式が多用されている理由は、駆動モーターとターンテーブルがベルトで連結される構造のため、技術的な難易度が低く、コストを抑えての安定的な回転と低雑音を実現できることによります。しかし、一方でパーツが増え、耐久性にはベルトの伸びなど問題点もあります。

一方、ダイレクトドライブ方式は、ターテーブルの回転軸がすなわちモーターの回転軸と言うように直結しているため、モーター自体の性能や回転の制御方法が即、音質に影響してしまうという難しさがあります。この制御(サーボ)が安定していない場合は、回転がカクカクするコギング現象となって音質を大きく損ねてしまうのです。いかに回転を安定させ、モーターから発生する振動や雑音を抑制するかが腕の見せ所ともいえます。

「CP-1050」では、モーターの振動を抑えるため敢えて減速機構を持たない「超低速ブラシレスDCサーボモーター(低トルクモーター)」を採用し、音溝として刻まれた繊細な音楽情報を正確に拾い出すことを可能にしています。

さらに、コギング現象を回避するため、モーターに送る電流波形を根本的に見直すことで、スムーズな回転(ワウ・フラッターは、0.15%以下)を実現したのです。

また、トーンアームには、「アンチスケーティング」(レコード盤上をカートリッジがトレースしている時、ベクトルの法則によって回転の中心に引っ張られる力を、逆に外向きに引っ張って打ち消す仕組み)の調整も可能な、本格的で高精度な「スタティックバランスS字型」を搭載しています。安心して針先の上げ下ろしができるアームエレベーション機構や高さ調整が可能なインシュレーターも採用しています。

高級カートリッジのご使用もお勧めいたします

ヘッドシェルの取り外しを可能とすることで、ヘッドシェル込みの重量が15~20gの各種カートリッジも使用可能です。付属のカートリッジはMMで出力電圧が2.5mVと標準的なもので、アナログの素晴らしさはこれでも十分堪能できますが、過去にアナログ経験をお持ちの年配のオーディオファンや音楽ファンは、保存状況さえ良ければ当時のカートリッジを一度使ってみて下さい。当時の音が蘇ると思います。

また、後日新たにMCカートリッジや高級MMカートリッジをご購入いただいて、ご使用になることもお勧めしておきます。それら高級カートリッジの性能を十分出し切れるトーンアームだと思います。「CP-1050」が基本性能の優れたマニュアルプレーヤーということで、カートリッジのグレードアップ以外にも、ターンテーブルシートの交換やスタビライザーの追加などで、更なる高音質も目指せます。

アナログ音源も愉しんでいただくためのマニュアルプレーヤー

オンキヨーは、この「CP-1050」を音源に込められた制作者の想いまでもリスナーに届ける「Emotion.Delivered.」というコンセプトの元、近年の「ハイレゾ音源=マスター音源」というイメージが定着する中、敢えて「マスタークォリティ」はデジタルだけではなく、アナログ音源でも愉しんでいただくため、再生品質にトコトンこだわった本格的なマニュアルプレーヤーを発売したのです。

デジタルオーディオしかご存じない若いユーザーには新たな発見が、アナログ経験豊富でしばらくアナログから遠ざかっていたオールドユーザーには、懐かしさとともにアナログを今一度見直すきっかけにも成りうる高性能なハイC/Pアナログプレーヤーとして、「CP-1050」を自信を持ってお勧めします。

特に、過去アナログ全盛時代を経験した私としては、これだけの基本性能を押さえたアナログプレーヤーがオーディオ市場に再出現したことで、「一度はアナログを捨てた」、あるいは「アナログプレーヤーが壊れてしまった」という「もう一度オーディオ世代」のシニアの方に、ぜひともお使いいただきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

ESOTERIC「Grandioso」シリーズ 総額1030万円(税別)のサウンドとは!?

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
今年1月、ジョーシン 日本橋1ばん館のリファレンスルームに、かのESOTERIC(エソテリック)「Grandioso」シリーズが一堂に会したとの情報を得て、期待に胸ふくらませ、試聴に出かけました。

それは、かなりの広さがあるリファレンスルームにおいてさえ、圧倒的な存在感を示しており、8台もの大型のシルバー筐体が威容を誇っていました…。



その超弩級ラインナップの内容は…

・コントロールアンプ「Grandioso C1」(本体と電源部の2筐体)
・スーパーオーディオCDトランスポート「Grandioso P1」(本体と電源部の2筐体)
・モノブロックD/Aコンバーター「Grandioso D1」(2筐体)
・モノブロック・パワーアンプ「Grandioso M1」(2筐体)

以上の8筐体にプラスして、今回の「Grandioso」シリーズフルラインナップの音質にも大いに貢献しているであろう、ESOTERIC マスタークロックジェネレーター「G-01」も使ってのシステムでした。(同シリーズではないためラックの再下段に置かれています)

さらにスピーカーには、今やオーディオ業界の標準機ともいえる、B&W スピーカー「802 Diamond」を使用。ケーブル類を含めず、実に総額1357万円(税別)というとんでもないシステムが完成したのです。

ちなみに、「Grandioso」シリーズだけでも、総額1030万円(税別)・総重量274kgという、とてつもない代物です。

究極の国産オーディオサウンド

2013年11月に、「Grandioso」シリーズがデビューして、ハイエンドのオーディオファイルや、オーディオ評論家の間での評価は日に日に高まってきてはいましたが、ラインナップで唯一抜けていたコントロールアンプの発売が待たれていました。

そして満を持して、2014年9月に「Grandioso C1」としてセンセーショナルに登場!この「Grandioso C1」は前年同様、各オーディオ誌にて年末のオーディオ賞を総ナメにしたのです。
※コントロールアンプ「Grandioso C1」は音元出版主催の「2015オーディオ銘機賞」で金賞を獲得。その他の「Grandioso」シリーズも「2014オーディオ銘機賞」特別大賞を受賞しています。

おそらく私を含め、多くの読者の方にとっても夢のまた夢のような、高価なシステムだとは思います。
ですが、究極の国産オーディオサウンドをご自身の耳で聴いておくことは、将来的にも絶対有意義であり『自分自身のサウンドを確立するためにもぜひとも聴いておくべき!』との想いから、敢えて「Grandioso」シリーズを今回取り上げました。

「Grandioso」シリーズの基本的な設計のポリシーは、完全左右独立の「モノブロック構成」と、電源部を別筐体とする「セパレート2シャーシ構成」で貫かれています。

もちろん、この設計ポリシーは本シリーズから突如始まったものではなく、エソテリックのこれまでの製品開発で得た数々のノウハウの集大成なのです。

ESOTERIC「Grandioso」シリーズについて

ここで今回のメインとなる「Grandioso C1」をご紹介する前に、既に発売済みの「Grandioso」シリーズについても少し触れておきます。

SACD/CDトランスポートである「Grandioso P1」は、ドライブメカに世界最強の軸摺動型ピックアップを採用したVRDS-NEO「VMK-3.5-20S」を搭載。そのメカの総質量は実に5.2kgにものぼり、メインユニット/電源ユニットの2シャーシ構成とし、その内部にも外部にも圧倒的な物量を投入しています。

5種類7系統のデジタル出力を備え、HDMIケーブルでDSDや352.8kHz/48bit・PCMという最高スペックの超広帯域デジタル伝送が可能な、同社オリジナルの「ES-LINK4」 端子を装備しています。

D/Aコンバーターの「Grandioso D1」は、前述の設計思想に基づいて、D/Aコンバーターとしては異例な「モノブロック構成」としており、当然の結果として、世界最高のチャンネルセパレーションを実現しています。

また、DAC部は36bitにも及ぶD/Aプロセッシングをしており、最近の必需機能とも言えるUSB(Bタイプ)入力も備えており万全です。しかも、BNCケーブルで「Grandioso C1」とクロックを同期させることでジッターを低減できるとともに、外部クロックを使っての更なる精度の向上も可能で、究極の低ジッターが実現できます。

モノブロック・パワーアンプ「Grandioso M1」は、これこそ物量投入型の極めつきともいえる製品で、出力は300W(8Ω)、600W(4Ω)、1.2kW(2Ω)と理論通りで、音楽信号には限られるものの2.4KW(1Ω)まで保証しています。
ダンピングファクターも1000を実現しており、これらの実現のため、かつてないレベルの電源部となっています。

質量約18kg、コアサイズ3057VAの超大型トロイダルコアトランスを搭載。コンデンサーは、3,300μF×12パラレルで構成とすることで、ハイスピードな音質を目指しています。実に1台で62kgにもなったのです。

待望のコントロールアンプ「Grandioso C1」

そして、最新のコントロールアンプ「Grandioso C1」は、本体と電源部を別筐体とした「セパレート2シャーシ構成」をとっており、さらに内部は、いずれも完全に左右チャンネルを分離する「モノブロック構成」としています。

その結果、電源部のACケーブルまでもが左右独立して2本使われており、もちろん本体への直流電源へも左右独立したケーブルで供給されています。

回路は全段フルバランス構成で、音量調整は4回路のラダー抵抗(梯子の形の抵抗ネットワーク)の切替式としています。電源部はトロイダルトランスが4基とEI型が1基で構成されており、機能としては入力ごとの利得、位相、バランス調整が可能で、新型のリモコンによる操作も可能です。コントロールアンプとしては驚異的な総重量50kgというとてつもない製品です。

一体どれほどのサウンドが…早速試聴してみました



そして、音質はやはり「とんでもない」モノでした…。「1000万円以上もするのに、当たり前でしょ!」と言われそうですが、河口無線の店長時代以来、世界中の数々の銘機の音を聴いてきた私にとっても、久々に「ぶったまげた」サウンドでした。

ちょっと、B&W「802 Diamond」では力不足?と感じる場面もあるほどに、鮮烈極まりないサウンドでした。

具体的には、これだけの物量のオーディオ機器でありながら、S/N比が半端ではなく、とにかく静かなのです。いきなり静寂の中から音楽が始まるのです。しかも実に自然に…。そしてパワーを入れていっても全く破綻することがなく、フルオーケストラのトゥッティの部分や、バスドラムの強打でも頭を打つ感じは微塵もありませんでした。

とにかくダイナミックレンジの広さは過去に経験したことのないレベルでした。この当たりは電源部を別筐体とする「セパレート2シャーシ構成」が効いているものと思います。

そして定位の曖昧さがなく、ビシッと決まる気持ち良さ、音場の見通しの良さは、恐らく完全左右独立の「モノブロック構成」が効いているものと思われます。

オーディオを極めたいオーディオファイルはもちろん、オーディオとは何たるかを今一度確かめたいとおっしゃる若いオーディオファンにも、何かのイベントの際には、ぜひ一度この「Grandioso」シリーズのフルシステムを聴いてみて欲しいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

モニターオーディオの中核モデル「Silver Series」の魅力に迫る!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
今回は、Joshin webでもヒット商品になっているモニターオーディオ「Silver Series」を今更ではありますが、その魅力に改めて迫ります。

「Silver Series」は、Joshin webでもヒット商品となっており、既に多くのオーディオファイルや音楽ファンにお使いいただいています。また、音元出版主催「オーディオ銘機賞2015」では、3ウェイの本格的フロアー型システム「Silver 10」が銅賞を獲得しました。

2ウェイブックシェルフ「Silver 1」、2.5ウェイトールボーイの「Silver 6」を試聴してきましたので、あわせてご覧ください。


新しい英国サウンド

多くの経験豊富なオーディオファイルにとって、英国製スピーカーと聞いて、まず頭に思い浮かべるのが「TANNOY(タンノイ)」ではないでしょうか。それは「保守系スピーカー」の代名詞ともいえる、パルプコーンとホーンツイーターによる同軸ユニットをメインとしたスピーカーシステムです。

また、約30年近く前には、BBC(英国放送協会)系のポリプロピレンコーンにソフトドームツイーターという、2ウェイブックシェルフが一世を風靡しました。

その後、B&Wやモニターオーディオなどのスピーカーが「新しい英国サウンド」として認識され、今や世界のオーディオ市場を席巻した感さえあります。モニターオーディオのスピーカーは現在、世界73ヶ国で販売されているとのことです。

モニターオーディオというメーカーについて

モニターオーディオは1972年創業で、すでに40年を超える歴史があります。本拠地は、ロンドンから約1時間の英国東海岸 Rayleigh(レイリー) に位置しています。

同社は、英国では珍しく先進技術の開発に積極的であり、キャビネットを含め、ユニットからネットワーク回路に至るまで、全てを自社内で一貫生産できる数少ないメーカーでもあります。

1991年に世界初となる「セラミック・アルミニウム・ウーファー」を発表してからは、「メタルユニットのパイオニア」的な存在として、世界中のオーディオ関係者に知られるようになったのでした。

日本でもかつて、国産スピーカーにメタルユニットとして、ウーファーにメタルコーン、一部はアルミハニカムや平面ユニットなどが採用されましたし、ツイーターにはボロンやダイヤモンドなど、ありとあらゆる金属が振動板素材として使われては消え、消えては使われて来ました。しかし、それらは現在ではほとんど廃れてしまったのはご承知の通りです。

モニターオーディオは、熟練した職人が、その持てる能力を最大限発揮できる生産環境の工場で、妥協のない厳選された素材を使いながら、英国の伝統ともいえる「クラフトマンシップ」にもこだわりをもって、新たな製品を次々と開発しています。

TANNOYやBBC系のいわゆる「ブリティッシュ・サウンド」といわれた英国の伝統的なサウンドからいち早く脱し、独自の路線を今日まで歩んできているのです。

モニターオーディオの「Silver Series」

「Silver Series」は1998年から始まっており、第5世代機となる最新シリーズは、発表が2013年11月ですが、本格的に店頭展開されたのが2014年になってからです。前作からは、スパイク以外全ての部分が改良されています。

ユニットには、アルミ-マグネシウム合金にセラミックをコーティングした、独自の「C-CAM」振動板をウーファーからツイーターまで全ての帯域で採用されており、高解像度と品位の高さを同時に実現できたのです。

しかも、全帯域にわたってマルチウェイであるにもかかわらず、低域から高域まで音色に一貫性のある製品に仕上げられているのです。これは、ユニットが全て自社生産であるという面が大きく影響していると思います。ここにこそ、伝統や連続性を重んじる「英国魂」が生きているともいえるかも知れません。

また、ウーファーやスコーカーのコーン振動板に、外周に向かって徐々に大きくなるディンプルを設けた「RST(リジット・サーフェス・テクノロジー)技術」は、日本の折り紙をヒントにしたとのことで、コーンの強度を大幅に高めることができたのです。如何にして金属素材を生かし切るかという、ある意味モニターオーディオの意地のようなものまで感じてしまいます。

ツイーターはゴールド色のC-CAMのドーム型で、ユニット後方にチェンバー(部屋)を設けて、フラットで歪みが少ない高域特性を実現しています。今回の開発にあたっては、ツィーターのコンピューター解析を行い、分割振動が生じないように非常に細かく構造を追い込んでいるようです。

各ユニットの固定には、最上級機「Platinum Series」から受け継いだテンションロッド方式(ボルトでリアバッフルに固定)を採用。バッフルとユニット間に緩衝材を挿入することで、ユニットの振動がバッフルに伝播するのを防止しています。キャビネットの基材には20mm厚MDFが使われています。

これらにより、間違いなくワンクラス上の仕様と音質を実現したハイC/Pスピーカーとなったのです。まさに、同社の上位モデルである「Gold Series」や「Platinum Series」に肉薄する性能になったと言っても過言ではないかも知れません。

日本橋1ばん館にて、「Silver 1」「Silver 6」を試聴しました


ブックシェルフの「Silver 1」「Silver 2」から、「Silver 6」をはじめとしたトールボーイの「Silver 8」「Silver 10」に至るまで、低域の再現性や最低音域への伸びこそ、トールボーイには大型のメリットこそあるものの、その音質には一貫性が貫かれており、非常にワイドレンジでありながら、広帯域にわたってフラットなレスポンスを実現しています。

過去の同シリーズに感じられた高域のクールな輝かしさ(私には不満でした)は全く影を潜め、色づけのないニュートラルなサウンドが得られていました。

また、キャビネットの優秀さもあって、ハイスピードな立ち上がりの良いサウンドを実現し、オーケストラものなど、多くの楽器の同時演奏時やコーラスなども、濁りなく、分解能を維持できているのです。そして、私にとって最も魅力的な点は、ボーカルが実に自然なのです。ミュージシャンの生の声がそこにあるのです。

オーディオショーの会場で聴いた「Silver 10」の低域の量感や伸びはやはり圧倒的で、かなりの広さのある試聴ルームでも十分なスケール感が再現されていました。一般のオーディオルームでは、バスレフのリアダクトに付属のスポンジを挿入して低域を調整する必要があるかも知れません。それ程に、中低域の充実したピラミッド型の安定感のあるサウンドでした。中高域の透明度や瑞々しさはそのままに…です。

お部屋の大きさや低域の好みに応じて、モニターオーディオ「Silver Series」の5アイテムの中からピッタリの製品をお選びいただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

完成度の高さと信頼感、そして何よりその歴史的価値が魅力のONKYO「D-77NE」

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
本日は、「何で今さら?」と言われそうですが、発売以来、予想以上に引き合いのあるONKYOの大型ブックシェルフスピーカー「D-77NE」を取り上げます。完成度の高さと信頼感、そして何よりその歴史的価値が魅力のスピーカーです!

シリーズ11世代目の「D-77NE」

ONKYOから、1985年の初代機が発売されて以来、実に30年、シリーズ11世代目となるロングセラーのスピーカーシステム「D-77」シリーズの最新モデル「D-77NE」が2014年12月に発売され、オンキョーとしては久々のヒット作となっています。

その理由はズバリ!「信頼感」&「安心感」だと考えます。そしてその購入者層は、D-77に歴史的価値を見出し、ご自身の若い日の憧れと、この「D-77」シリーズにある種の思い入れのある、シニア世代だと思われます。


D-77NEのコンセプト

D-77NEのコンセプトは、《 MADE IN JAPANの本格的3ウェイスピーカーシステム 》です。30cm級ウーファーを搭載した、3ウェイ中型ブックシェルフ機は、最近でこそ非常に少数派となり、珍しい存在とはなっていますが、1980年代には、国内の殆どのオーディオメーカーや家電メーカーが、競って毎年のように製品を市場に投入していました。

そんな80年代のヒット作の中でも、ダイヤトーンの「DS-77」シリーズと覇を競った一方の雄が、ONKYO「D-77」シリーズだったのです。当時、「5・9・8戦争」とも言われ、約5年間にわたり熾烈な販売競争を繰り広げたのでした。


D-77シリーズの系譜

1981年に「D-77」のオリジナルともいえる「D-7」が発売され、「D-7R」「D-7RX」と続いた後、第1世代の「D-77」が登場しました。

その後、ほぼ年1回のペースでマイナーチェンジによる新製品( D-77X(1986)、D-77XX(1987)、D-77XD(1988)、D-77XG(1989)、D-77FX(1990)、D-77FXII(1992)、D-77RX(1994)、D-77FRX(1996)、D-77MRX(2003) )が発売されました。そして、この度14年ぶりに「D-77NE」が登場したのです。


第1世代 D-77の時代背景

D-77が登場した1985年は、CDが市場に投入されて3年という、まさにデジタルオーディオの黎明期にあたり、D-77シリーズは、当時からデジタル対応を標榜し、さまざまな新素材を振動板に採用して、軽量化と高剛性化を図っていました。

また、エンクロージャーも30cmウーファーのエネルギー(反作用)に負けない高剛性を目指した結果、超重量級のブラック仕様という、各メーカーの製品が同じような外観となってしまい、前述のダイヤトーンのように、型番まで似通ってしまうという、今から思えば異常事態であり、混乱期でもあったのです。

それ程まで、当時のオーディオ業界の繁栄と活況が、懐かしいとともに羨ましいとも感じるのは、私ひとりだけでしょうか。


最新モデル D-77NEを探る

新製品のD-77NEは、数年前からオーディオショーでその試作機が何度もデモされており、「いつ発売されるのか?」、はたまた「試作機で終わってしまうのか?」と気にはしていたのですが、ついに昨年末発売にこぎ着けたのです。

小型2ウェイ・ブックシェルフや、スリムなトールボーイが全盛の昨今にあって、今となっては超の付くほど個性的なコンセプトで製品化がされたことに、ONKYOの勇気とやる気を感じるとともに、ある意味「国産オーディオは不滅だ!」との『歴史的価値』を主張しているようにも思えます。

オリジナルモデルのD-77から、ウーファーの振動板には、ピュアクロスカーボンや同社オリジナル素材のOMFが採用されてきましたが、本機ではONKYOの伝統的技術によるコルゲーション(同心円のプレス:補強溝)付きのノンプレスコーンを採用しています。ノンプレスのため、コーンの裏側(表面からは見えない)はミミズが這っているような状態とのことです。


D-77NEのノンプレスコーン イメージ図

それこそが、軽量かつ高剛性で適度な内部損失を実現するため、同社とっておきの理想的な振動板だということです。素材固有のノイズを飛躍的に低減するとともに、濁りのないピュアなサウンドを実現し、30cmウーファーならではの力強い・ダイナミックな低音再生が可能となったのです。

一方、12cmのスコーカーには、前作と同様、独自開発のシルクOMF(Onkyo Micro Fiber:シルク繊維と熱硬化性樹脂によるマトリクス構造で、軽量・高剛性・内部ロスの大きい素材)振動板を採用しています。

基本的な考え方は、80年代のD-77シリーズと同様で、ミッドレンジを大口径にすることで再生帯域を広げ、ウーファーへの負担をできるだけ軽くしているのです。スコーカーの後方にはバックチェンバー(別の部屋)が設けられており、ウーファーからの音圧を回避しています。

ツイーターには、25mmアルミニウム合金ドームと40mmバイオクロスコーンを組み合わせた複合振動板を採用。従来素材と新素材を絶妙に使い分け、同社がこれまで蓄積してきた、スピーカー作りのノウハウを生かしています。
30cmウーファーのフレームには高剛性のアルミダイキャストを採用し、8本のM8ボルトで締め付けることで、ウーファーの反作用を徹底的に抑えています。また、エンクロージャーは、MDF素材を6面全てに採用し、さらにフロントバッフルは2枚重ねることで強度を高めています。

側板には同社スピーカー「D-TK10」で採用された、ギター製造工法独特の「力木(ちからぎ)」を配置して、自然な響きを得るために、綿密なチューニングを施したとのことです。80年代のD-77シリーズをはじめ、当時の国産スピーカーシステムに見られるような、単に《 鳴き 》を排除するための高剛性化とは一線を画する最新技術が使われています。

ネットワークにも近年の手法が使われており、ネットワーク回路を3ユニットとし、リアバッフルへ分散配置することで相互干渉から逃れています。また、ツイーター用には、ドイツWIMA社製のフィルムコンデンサーを投入して、高音質化を図っています。スピーカー端子には、真鍮削り出し素材に金メッキ処理を施すことで、経年変化が少なく高導通性を確保したしっかりしたターミナルを採用しています。


D-77NEのスピーカー端子

試聴しました

音質は、昨年11月に心斎橋で行われた「オーディオセッション」でじっくりと聴いていますが、改めて、日本橋1ばん館でもサウンドを確認しました。

・能率が90dBもあり、大口径のダイナミックで開放的なサウンドをお好みの方にはピッタリ。近年の国産には珍しい、低音楽器の厚み・重量感のあるサウンドは圧巻です。

・スコーカーのバックチェンバーが有効に働いており、モジュレーション(他のユニットからの影響)が少なく、非常に立ち上がりの良い中域を実現しています。

・中域から高域にかけての繋がりは秀逸で、全くクセを感じさせないナチュラルな質感で、音楽ジャンルを選びません。80年代のD-77シリーズのように、デジタル対応を意識するあまりの中高域の強調感はなく、ボーカルは温かく、弦楽器は滑らかで響きも自然なものでした。


最後に

価格的にも、これだけのポテンシャルとその堂々とした存在感から、決して割高とは感じませんでした。

コンセプトである《 MADE IN JAPANの本格的3ウェイスピーカーシステム 》こそ国産オーディオの原点であり、このコンセプトに共感するオーディオファン・音楽ファンは多いはずです。ぜひ、導入をご検討ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

ティアックからフォノ入力も装備したCDレコーダー/カセットデッキ「AD-RW950-S」が新登場!

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「担当者のコメント」 by.Yokoi
★本日紹介させていただくのは、3月下旬発売予定のティアックのCDレコーダー/カセットデッキ「AD-RW950-S」です。

コンパクトカセットといえば、1970年代から1980年代にかけ、爆発的な人気があったオーディオ用の再生アイテムです。

昨今では、CDプレーヤーやMP3プレーヤーなどの再生機器や、ハイレゾ規格の浸透により見る機会が徐々に減ってきていますが、
演歌などではまだまだ新曲がカセットテープで発売されています。

昨年6月にもティアックからダブルオートリバースのカセットデッキ「W-890RMK2」が発売されましたが、
今回も同じくティアックからCDレコーダー/カセットデッキが発売されます。

今回発売される「AD-RW950」はCDレコーダーとカセットデッキの複合機です。
カセットからCDにデジタル保存することはもちろん、CDとカセットの独立操作ができますので、
例えばカセットを再生しながら、別の機器から外部入力端子へ接続しCDへの録音も可能です。

CDへのデジタル録音やCD再生に欠かせないAD/DA変換を行うコーデックには、
業務用レコーディング機器にも採用され定評のある、ワイドダイナミックレンジ、
優れた低歪特性を持った旭化成エレクトロニクスの24bitコーデック「AK4528VM」を採用しています。

また、フォノ入力端子もついていますので、レコードをCDにデジタル化することも可能です。
ご自宅に残っているレコードや思い出のカセットテープを「AD-RW950-S」でもう一度振り返ってみませんか?

ぜひ一度ご検討ください!

TEAC AD-RW950-S

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カセットテープをワンボタンでCD-R に録音、デジタル保存可能なCD レコーダー/カセットデッキ

フォノ入力も装備し、レコードをカセットまたは音楽用CD-R/CD-RWに録音可能

外部のアナログおよびデジタル機器を接続し、録音が可能

本格的にアナログ再生を目指す方にお勧めするクリーナー3種!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
本日は、久々にもう一度アナログ再生にチャレンジしようとお思いの方にもお勧めする、クリーナー3種をご紹介します。30年前のアナログ全盛時代のサウンドが蘇ります!

久々に、お気に入りのレコードを聴いてみませんか?

アナログプレーヤーを新たに買い換えられた方はともかくとして、多くのオーディオファン・音楽ファンの皆様は、ご自分やご家族が過去に使っていたアナログプレーヤーやカートリッジを引っ張りだして、久々に懐かしいお気に入りのアナログレコード(ブラックディスク)をお聴きになりたいのではないでしょうか。

しかし、保存状態が良くないプレーヤーは、最悪の場合、駆動モーターが壊れてしまっていることもあります。プレーヤー自体は比較的単純な構造のため、余程湿気の多い環境に放置されてない限り、無事の場合が多いと思います。

万一ターンテーブルが回転しない場合は、ベルトドライブならベルトの交換で済むこともありますので、まずはプーリーの回転をご確認下さい。もし、プーリーが回転していなかったり、ダイレクトドライブ(DD方式)のプレーヤーでターンテーブルが回転してしない場合は、モーターが故障している可能性が考えられます。ほとんどの場合、現時点ではサービスパーツがなく、修理は不可能と思われます。

また、カートリッジは非常に繊細ですので、プレーヤーのトーンアームに装着したまま、前述のような悪条件の場所に置かれていた場合は、非常に心配な事態です。アームから外して比較的乾燥した状態で保存されていたなら、おそらくカートリッジ自体は、無事な場合が多いと思います。

まずは、アナログレコードを聴くにあたり、プレーヤーやレコードをクリーニングするアイテムをご紹介します。私も愛用しているクリーニングアイテムです。


お勧めクリーナー その1『 レイカ スタイラスクリーナー 』


一流メーカー製で当時有名だったカートリッジをお持ちでしたら、この「DR-STYLUS」があれば、針先が蘇ります。過去に、スプレー式のレコードクリーナーや帯電防止剤をお使いになっておられた場合、虫眼鏡でご覧いただくと針先にコッテリとタール状の物質が固着していたり、綿埃で針先のダイヤチップが隠れてしまっていたりしていないでしょうか。

これらは、通常のスタイラスクリーナーではなかなか取れませんし、クリーナー液を付けすぎると最悪の場合、毛細管現象でカートリッジ内部に液体がしみこんでしまうことも考えられます。

そこで、この「DR-STYLUS」の登場です。付属の点滴用のプレートにほんの一滴だけクリーナー液を落とし、ミクロン・クリーナーブラシにそれを染みこませるだけです。そして、カンチレバーの針先をそっと撫でるだけで、「あら不思議!」と綺麗なダイアモンドの針先チップが現れます。

しかも、透き通るような(ダイヤの屈折率が高く全反射するため)綺麗な針先です。通常、針の寿命は500時間程度と言われますが、私の経験から、余程の悪条件で使用しない限り、モノは地上最高の硬度を持つダイヤですから、そう簡単にスリ減ることもないのです。おそらく、針先はこれで新品同様になります。

また、「DR-STYLUS」は約5ccしか入ってないのに高価だとお感じになると思いますが、スプレー式レコードクリーナーを使わなければ、針先のクリーニングはそんなに頻繁に行う必要がないことから、こぼしたり、蒸発でもしない限り、おそらく「一生モノ」といっても過言ではないと思います。事実、私は10数年使っていますが、まだまだ使えます。


お勧めクリーナー その2『 アコースティックリバイブ 導通向上クリーナー 』


カートリッジのお尻の4つの出力ピンやリード線、そしてヘッドシェルのリード線端子、トーンアームのシェルとの接合部分は、非常に小さい電力(電圧でライン系の100分の1程度)を扱っており、ちょっとした汚れやサビでも大きな影響を受けてしまいます。そこで、クリーニングが必須になってきます。

これには、通称 アコリバ(アコースティックリバイブ)の「ECI100」が使いやすく、クリーニングに加え、導通性の向上も図れることから、一石二鳥の効果があります。

綿棒にシュッと一押しスプレーして、それぞれの接点を優しく拭くと、あまり汚れが目立たなくても、「あら不思議!」と綿棒が黒く変色してしまいます。そして、端子は金色(もちろん金メッキの場合)に輝いてきます。これらは錆びで、空気中の水分などにより酸化が進んでいたものと思われます。

これにより音質はクリアになり、雑味が消え、サウンドの見通しが非常に良くなります。


お勧めクリーナー その3『 レイカ バランスウオッシャー33 』


アナログレコード全盛時代の1970~80年代前半に、このレコードクリーナーが存在していたなら、アナログレコードがあんなに急激にCDに取って代わられることは、なかったのではないかとさえ思ったクリーナーが、1993年にオーディオ界に登場したレイカの「バランスウオッシャー33」です。

アナログレコードの最大のネックは、ホコリが付きやすい(重力によるホコリの落下と静電気によるホコリの引き寄せ)ことです。当時、ありとあらゆる種類のクリーナーが国内外を問わず、数え切れない程のメーカーから、数多くの種類の製品が発売されていました。しかし、ことクリーニングに関しては、ついに決定打は現れず、数種類のクリーナーを組み合わせて、なんとか見えるホコリを除去するのが精一杯でした。

また、昔からあったスプレー式のレコードクリーナーは、不純物が入っていたりやレコードの素材である塩化ビニールにダメージを与え(あくまで当時の製品)、かえってノイズが増えたり、時には帯電防止剤が塩ビを溶かして、音溝の奥に溜めてしまうようなものまで存在しました。

果ては、先日亡くなられたオーディオ評論家の江川三郎先生などは、レコードを水で洗ったり、固く絞った雑巾で盤面をゴシゴシ拭くやり方なども提案されましたが、なけなしのお金で買った大切なアナログレコード盤に、それらを実行する勇気は、当時の私にはありませんでした。

レコードの新譜がほとんど発表されなくなっていた1993年、レイカという新しいブランドを立ち上げたのがレイカの大越さんです。「バランスウオッシャー33」は当時としては画期的な2液式のクリーナーで、A液でレコードのカビや汚れ成分だけを安全に落とし、B液で音質向上と保存作用を持たせたクリーナーで、レコードに有害な帯電防止剤を一切使わず、レコードの静電気を除電させる効果も併せ持っていました。また、B液でコーティングするとレコード針も長持ちします。

このように、大切な初期盤や廃盤、貴重盤などのデリケートな盤のクリーニングにももってこいで、安心してお使いいただける画期的なレコードクリーナーなのです。今回取り上げた「BW-33-EX」はあくまでお試しセットでして、ヘビーユーザー向けには200cc入りのA液「BW-33-A」とB液「BW-33-B」があり、専用のクリーニングクロス「ビスコ33(30枚入)」も用意されています。

お試しセットの「BW-33-EX」では、付属のクリーニングクロス(ビスコ33)5枚では必ず足りなくなりますので、一緒に1セット追加購入しておいていただければと思います。このセットで、10枚から20枚のレコードのクリーニングが可能(レコード盤の汚れ具合によって変わります)です。初めての方は、A液を使いすぎてしまいますのでご注意ください。

なお、SPレコード(78回転)の収集家には、SPレコード(LPレコードとは素材が違うため)専用クリーナー・バランスウオッシャー78 マスターセット「BW-78-MS」が用意されています。

発売から20年以上経過しているにも関わらず、非常に多くのリピーターがおられるということこそ「バランスウオッシャー33」の素晴らしさを証明しているともいえます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)


アナログの実力を最大限発揮させるアクセサリー3種!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
本日は、アナログ全盛期には考えつきもしなかった製品で、現在においてこそ、アナログの実力を最大限発揮させることができるアクセサリー3種をご紹介します。30年前のアナログ全盛時代のサウンドを蘇らせるための必需品として、お勧めいたします。

アナログアクセサリー その1『 SPEC+ ターンテーブルシート 』


お持ちのプレーヤーのターンテーブルには、大抵の場合、ゴム製のシートが載っていると思います。それは、振動の吸収や滑り止めが主な役目です。しかし、かつてゴムはゴムでもブチル製のシートが大ヒットしたり、金属製やセラミック製、果ては空気を吸引して吸着させるシートまで登場しました。ゴム製にはオーバーダンプによるゴムの鈍さが、金属製に金属素材特有の音色が付くなど、それぞれ一長一短があります。

ちなみに私は、プレーヤーオリジナルのゴムシートに、これもかつてヒットした豚皮シートを敷いていました。

その後、数々の素材のターンテーブルシートが開発されましたが、いずれも高価で、ちょっと手の届かない製品がほとんどでした。そんな中、昨年(2014)末に、SPEC+(スペック)から画期的ともいえる素材のシートが発売されました。それが「AP-UD1」です。

レコード盤を作る際の、音楽信号を刻むカッティング原盤として使用されるラッカー盤と同様の素材で出来ており、薄いアルミ板の両面にラッカーを塗布したレコードより若干大きめ(直径305mm)。厚さ1.6mm、質量は337gという、まさにラッカー盤そのものです。それを開発中のプレーヤーの砲金製のターンテーブルに敷いたところ、音が良くなることを発見し、それがそのまま製品化されたとのことです。
※ラッカー盤 … 硝化綿にオイルやカーボンブラック等を混ぜてシンナーで溶いたものをアルミ盤に多重塗布したもの

一般的には、金属製のシートは針先の反作用でレコードが屈曲することがないため、立ち上がり・立ち下がりが良くなり、S/Nや定位感も向上する一方で、前述のようなクセが出てしまうことが往々にしてあるのですが、この「AP-UD1」では、アルミにラッカー塗装することで、アルミを制振し、その色付けを抑え込んでいるのです。

実際に自宅のプレーヤーで、前述のゴム製+豚皮製から替えてみたところ、高域から低域にかけてピラミッド状に音が安定し、クッキリと見通しが良くなりました。他の素材のように独特の音色が加わったり、ある種のクセのようなものが付くこともありませんでした。

しかしそのサウンドは、やはりアナログの世界の音であり、デジタルのようなキレを優先した、とにかく情報をえぐり出すようなサウンドではなく、中低域の適度な厚みと中高域の滑らかさは、やはりアナログならではと付け加えておきます。


アナログアクセサリー その2『 Wind Bell インシュレーター 』


昨年(2014)夏に発売の、特許機器が開発した「風鈴効果」を謳ったインシュレーターです。機器の重さに合わせて、2タイプ(WB-60、WB-30)がラインナップされています。

オーディオ用のインシュレーターには、従来から色々な考え方によって生まれた、多種多様の製品が存在しています。
例えば、
  • オーディオ機器の設置を安定させるもの
  • 機器自体の内部振動や音波により受けた振動を速やかに置き台や床に逃がしてしまうもの
  • 逆に置き台や床からの振動を機器に伝えず跳ね返すもの
があります。Wind Bellのインシュレーターは、これらと異なり、機器と床や棚の間を完全に遮断して双方に振動が伝わらないようにする、インシュレーター本来の意味(遮断するもの、絶縁物)を忠実に具現化した製品になります。

内部は、上部スリーブ(コップを伏せた形状の金属)に高品位のスプリングコイルが内蔵されており、振動はこのスプリングによって遮断され、スプリング固有の共振(サージング:コイル素線に沿って伝搬される衝撃波が、 バネの両端部を往復する共振現象)は、内蔵された特殊な部材によって防止しています。これにより、床や棚からの振動が伝わらないのです。振動に関する問題を同社では、長い年月をかけて特殊な制振材料を用いたサージング防止技術を開発し、オーディオ用インシュレーターに適した振動遮断性能を実現させているとのことです。

さらに、風鈴部材と呼ばれるスリーブがスプリングを包み込むことで、高音域をチューニングするのだとしています。これにより、低音域の振動遮断と高音域のチューニング効果を併せ持つ、かつてなかった、世界初(米国特許)のインシュレーターとなったのです。

自宅のプレーヤーで、「WB-60」をインシュレーターとして使用しました。低域のモヤモヤが晴れ、クッキリとして立体感が出てきました。また、非常にS/Nが良くなり、アナログサウンドであることから、スクラッチノイズやヒスノイズはある程度は不可避ですが、音楽自体は静寂感を伴って再現されるようになったのです。それは、プレーヤーが明らかに1クラス、いや2クラスグレードアップされたと感じるほどの効果でした。


アナログアクセサリー その3『 Elesta スタビライザー 』


最後にご紹介するのは、過去のアナログ全盛期には考えもしなかった効果をもつアナログアクセサリーです。

それは、エレスタが発売している「摩訶不思議」的な製品の一つです。会社名にもなっているエレスタ(Elesta)とは、常温でオーディオ機器に作用するレベルのマイナスイオンを発生する天然鉱石が充填されており、装着した機器の筐体やパーツ、レコード盤をイオン化させることをいいます。イオン化された筐体やパーツは、エネルギー損失が減少するため機器の効率が上がり、同時にマイナスイオンの除電効果で、オーディオ機器に何ら改良を加えることなく、機器の性能を最大限引き出すことを目的にしています。

スタビライザー「Disc Stabilizer vol.5」は、レコード盤に載せるだけで、再生中に直接大量のマイナスイオン(陰イオン)を供給し続け、レコード再生により常時帯電するプラスイオンと結びつき、帯電によるノイズや静電気によるゴミの吸着を防止して、S/Nの良い最高水準の音楽を再生し続けます。

木管楽器にも使われている響きの良い黒檀製で、重さも従来の重さで押さえつけるスタビライザーとは全く違い、僅か70gと軽量で、レコード盤との接触面はコルク素材が使われています。さらに、メンテナンスフリーを目指し、ターンテーブルシートの上に置いておくだけで、着脱の必要のない除電シート「for Analog Disc vol.1」(直径95mm、厚み0.4mmでプレーヤーのセンタースピンドルにはめる)を併用することで、さらに効果が大きいといいます。

特に、レコードでは素材自体が静電気の影響を強く受ける上、再生すると回転し、必ず空気との摩擦で静電気が発生しますので、除電しなくてはクリアな音は再生できません。このスタビライザーは、 レコードに載せる・敷くだけの簡単な操作でメンテナンスの必要のない製品です。

こちらも、自宅で「Disc Stabilizer vol.5」や「for Analog Disc vol.1」を試しました。感想は、「Disc Stabilizer vol.5」だけで十分かと思いますが、「for Analog Disc vol.1」の併用で、さらに除電効果は上がったようです。

確かに、冬の乾燥期、しかも20℃以上の部屋であり、静電気は避けられない条件ではあるものの、ダストカバーを外した状況でも、綿埃を吸い付けているとは感じられませんでした。また、クリーニングブラシで盤面のゴミを拭う作業を行っても、特にホコリが筋となって溜まってしまうこともありませんでした。

音質は、明らかにノイズが減少し透明度が上がったと感じました。しかも、静電気が発生しにくくなった効果は絶大で、レコードを聴く際の精神的落ち着きに繋がり、これが一番効果があったと感じました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

ノイズレス再生を実現するフォノイコライザーアンプ

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
本日は、FIDELIXのフォノイコライザーアンプ『 LEGGIERO(レジェーロ) 』を取り上げます。ノイズレス再生を実現する製品で、実際に試聴してみると、MCはもちろんのこと、MMでも別次元のサウンドでした。


FIDELIXと私

FIDELIX(フィデリックス)というメーカー名から、ハーモネーター「SH-20K」を思い浮かべられた方は、かなりのオーディオ経験とオーディオアクセサリーに関する深い見識をお持ちの方だと推測します。この製品は、1995年春に発売され、オーディオ業界で大変なセンセーショナルを巻き起こしたからです。

当時の私は店長をしており、お得意様に訴求するや爆発的なヒットとなりました。それ程に、ある意味画期的な製品だったのです。フォノイコライザーアンプの紹介をする前に、少しだけ寄り道します。


FIDELIXの製品について

当時、既にCDが発売されて10数年が経過していましたが、CDの音質に対する不満が、音にうるさいオーディオファイルの間で渦巻いていました。「音が固い」「音が冷たい」「エッジがきつい」「響きが少ない」「低音の分解能が悪い」「音が平面的」など、特にアナログ経験の長いオーディオファイルほどその不満は大きく、CD離れも起きようかとしていました。

そんな多くのオーディオファイルに受け入れられ、大ヒットとなったのが、FIDELIX「SH-20K」だったのです。当時の価格は8万円前後でしたが、高級CDプレーヤーをお使いのハイエンドマニアから音楽ファンに至るまで、多くの方に実際に体験していただいて、ご納得の上でご購入いただいたのでした。

原理としては、CDに対する不満の原因を、CDの高域限界が20kHzである(20kHz以上が急峻にカットされている)ことに起因していると結論づけ、CDプレーヤーの出力信号をこの「SH-20K」を通すことで、100kHzまでなだらかに減衰していく自然音の持つ音域分布と同じように、20kHz以上の疑似信号(ランダム波)を音楽信号(CD領域に割り込まないよう)に正確に付け加えるというものでした。これにより、CDに対する不満がかなりのレベルで改善した結果、後のSACDやDVDオーディオのフォーマットの開発や近年のハイレゾブームに結びついたと言えなくもないと、私は思っています。

そんな「SH-20K」というユニークな製品を開発したのが、ソニーのオーディオ設計部門出身で、同社の銘機として名高い「TA-F1120F」の設計を手がけた中川 伸氏です。スタックスを経て、1976年にFIDELIXを設立しました。今回取り上げるフォノイコライザーアンプ「LEGGIERO」を設計されたのも、もちろん中川氏です。

ちなみに、製品名の「LEGGIERO(レジェーロ)」は、イタリアの音楽用語で「軽快優美」という意味です。このイコライザーは、攻撃的で押し出しの強い表現は当然として、軽やかで優雅という、アンプにとっては最も難しい表現をもこなすことから、命名されています。


最近のフォノイコライザー事情

最近のアナログブームの影響からか、各社からフォノイコライザーが発売されることも増えてきています。しかし、MC用イコライザーやヘッドアンプは1970年代後半に発売されたものと比べると、一部のハイエンド製品を除いて、かなりノイズが多く、S/Nが悪くなっているのも事実のようです。これは、トランジスタなどにローノイズのデバイスが少なくなってきたことに加え、ローノイズの技術に長けた技術屋さん自体も少なくなっているからのようです。

現時点でフォノイコライザーを手っ取り早く製品化するため、ローノイズのオペアンプを探して使っても、入力換算雑音電圧(S/Nを表す数字:数字が大きい方が高S/N)は、せいぜい-144dBV程度にしかなりません。鉄芯入り(磁性材の巻き枠にコイルを巻いたタイプ)のMCカートリッジ(オルトフォンSPUやデノンDL103タイプ)なら、これでもあまりS/N的には不満は持たれないと思いますが、空芯(コイル巻き枠に非磁性体を使った空芯タイプ)のMCカートリッジ(かつてのFRやビクター・ヤマハ、最近の製品ではオーディオテクニカのAT-ART7)の良さを生かし切るには、ハッキリ言って能力不足でした。


-156dBVの超ローノイズ設計

そんな中「LEGGIERO」は、鉄芯入りのMCカートリッジから、空芯MCのような滑らかさと透明感を引き出すとともに、出力電圧の低い空芯のMCカートリッジを最高に鳴らすべく、-156dBVの超ローノイズ設計としたのです。設計された中川氏は、これにより出力電圧0.1mVクラスのカートリッジでもノイズレス再生が可能としていますが、当初私には「そこまで必要なのか?」と疑問はありました。

しかし、自宅での試聴では、空芯MCカートリッジのヤマハ「MC-1S(1978年製)」でも、かつて聴いたことのない音が出てきたのです。情報量が非常に多く、高密度でナチュラルな音場を再現し、ソースによっては、軽やかでナイーブ、艶やかで優雅なサウンドをも忠実に再現してくれました。それは間違いなく、高S/Nノイズレス再生の成せる技と確信しました。もちろん、オルトフォンのSPUでも実在感や音の深みが増したのには正直驚きました。


電源は別筐体


LEGGIEROの背面

「LEGGIERO」は、超ローノイズ設計を目指し、電源は別筐体の外部電源より供給しています。リアパネルにMMとMCの切り替えスイッチと、MCとMMの専用入力端子があり、本体の底面には入力インピーダンスの切り換え用のディップスイッチを備えています。入力インピーダンスを1ギガΩで受けることで、鉄芯MCでも空芯MCの音に近付くといいます。

鉄芯に起因するある種のノイズ(バルクハウゼンノイズ)が音の滑らかさを阻害しているのですが、MC入力インピーダンスを1ギガΩという超高抵抗にしてコイルに電流を流さず、電圧信号だけを取り出すことで、鉄芯に起因する前述のノイズを激減できたとのこと。この結果、ケーブルや接点での影響も受けなくなり、伝送信号の純度が著しく改善できたとのことです。

マニアックな機能では、イコライザーカーブの切り換え(RIAA以外にも対応)や、16Hzのサブソニックフィルターも装備しています。また、オルトフォンのSPUやデノンの103系をお持ちのMCトランスで使いたい場合は、MM入力でお使いいただけます。


最後に

ここまでMCカートリッジのお話ばかりでしたが、MMカートリッジでは力強く厚みがあり、音場感も豊かで、伸びやか。音楽に引き込まれるような、デジタルとは別次元のサウンドであったことを付け加えておきます。

また、FIDELIX「LEGGIERO」は、生産数が限られるため、お待ちいただく場合もございます。予めご了承ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

1bitアンプの最終型!リリック Nmode「X-PM7」

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
本日は、デジタルアンプに否定的な考えをお持ちの方にこそ、ぜひ耳にしていただきたい1bitデジタルアンプの最終型ともいえる、Nmode「X-PM7」をご紹介します。


Nmode(エヌモード)ブランドを擁するリリック(Lyric)というメーカーとは

Nmode(エヌモード)ブランドで有名な株式会社リリック(Lyric)は、2008年に鹿児島県の志布志市で創業した、新進気鋭のオーディオメーカーです。現在はデジタルアンプを中心に、各種オーディオコンポーネントをラインナップしています。

創業者である布村常夫氏は、家電メーカー シャープの出身者で、同社を2006年に退職後、起業され、今日に至っています。私は布村氏のことをシャープ時代から存じ上げており、当時の家電メーカーにあって、オーディオ知識の豊富さに感心しました。布村氏が関わった1bitアンプの最終型が、今回取り上げる「X-PM7」なのです。


1bitアンプについて

Nmode「X-PM7」の魅力に迫る前に、布村氏が関わった、Nmodeアンプのルーツともいえる「1bitアンプ」について、時系列でご説明しましょう。

まず、シャープで1999年の「SM-SX100」「SM-SX1」に始まり、2001年「SM-SX200」、2004年「SM-SX300」、2005年「SM-SX10」と5機種が開発されました。その後、Nmodeブランドから、2008年「X-PM1」、2009年「X-PM2」、2010年「X-PM10」などが登場しています。


SM-SX100

X-PM1

Nmodeの1bitアンプは、初代の「X-PM1」こそ《PWM方式》(パルス幅変調:可変のパルスの幅および正負により、波形を表し生成する)のデジタルアンプで出発しましたが、2代目の「X-PM2」からは、シャープ時代から布村氏が手がけていた《PDM方式》(パルス密度変調:一定幅のパルスの密度および正負により、波形を表し生成する。SACDに用いられるDSDのΔΣ変調にも使われる)をさらに発展させたものを採用しています。

1bitアンプの解像度は、サンプリング周波数に大きく依存しており、最新の「X-PM7」では12MHzと、「X-PM1」の2.8MHzから4倍以上にも達しています。この数値は現時点で、ほぼDSDの実用限界に近い数値を実現しているのです。

1秒間に1,200万回の超高速サンプリングを時間あたりの分解能にすると、実にCDの270倍にもおよび、これによりマルチビットでは到底表現できなかった、スムーズさとスピード感のあるリアルサウンドを実現できたとのことです。


Nmode「X-PM7」とは

最大出力は、8Ωで17W×2、4Ωで25W×2と比較的小さいものです。デジタルアンプは、通常のアンプと違い、信号が入った場合だけ動作するため、エネルギー効率が抜群に良いことから、低価格のデジタルアンプでは当たり前のようにスイッチング電源が使われるのですが、「X-PM7」では、あえて本格的なアナログ電源を搭載しています。

これは、1bit(DSD)アンプは、サンプリング周波数と出力に比例した、瞬間的な電流がほぼ100%一気に必要とされるため、たとえ25Wといっても瞬間的なピークパワー電流を供給できる強力な電源が必要なためです。ちなみに、私が本機をかなりの音量で数時間使用しましたが、発熱はほとんどありませんでした。

さらに、増幅回路はもちろん、電源トランスや電源回路まで左右独立しており、大容量のRコア電源トランス、高性能な導電性高分子電解コンデンサーやショットキーダイオードなど、高性能な部品が多数つぎ込まれています。


X-PM7 内部

これらの結果、「たった25W、されど25W」として、決して100Wや200Wのアンプにも駆動力で負けることはないとNmodeは断言しています。やはり、『アンプでの最重要部分は電源である』との考え方は、オーディオを知り尽くした開発者ならではのものだと思います。

筐体も非常にしっかりと作られており、重量は10kgではありますが、その体積からしてもズッシリしたものを感じます。ボリュームノブやスイッチ類の使用フィーリングは良好です。

スピーカー端子は極太ケーブルにも対応できる、銅メッキの高級大型タイプを採用しています。スピーカー端子のマイナス側は2系統あり、片chあたり3個あります。2系統のうち、Hmodeは通常のスピーカーに、Lmodeはニアフィールドでの小音量時のS/N重視のリスニングに適したものと分けられています。

X-PM7 背面

スピーカー端子部 拡大
(左がプラス、中央がLmode、右がHmode)

自宅で試聴しました


中央上段が X-PM7

ソースは主にUSB-DACを経由した音楽ファイルで、ハイレゾとCDからのリッピングソフトを音源として使用しました。試聴は、バーンインCD(ノードスト「TD1」の47曲目)を約1時間ほど中音量にてリピートで鳴らしたあとに実施しました。

私の第一印象は、「さわやか」「優しい」「滑らか」「軽やか」「まろやか」でした。どこにも引っ掛かりを感じないスムーズで緻密なサウンドで、これは「X-PM7」の歪み感のなさとスピード感のある表現力ゆえだと思います。

高域ではシンバルが非常に自然である一方、ピアノのペダルを踏む超低音も胴鳴りを伴ってハッキリ聴き取れました。非常にフラットな広帯域再生を実現していると感じました。

ジャズでは若干細身で、コッテリ系の汗が飛び散るような荒々しいものではなく、お行儀の良いハイセンスなサウンドでした。また女性ボーカルでは、唇の開閉の音まで聴き取れるほど生々しく、適度な湿気も含んでおり、その声は清潔感のあるクリアなものでした。

さらに、クラシックでの情報量はハイエンド機に匹敵するもので、左右モノラルコンストラクションを採用していることもあって、セパレーションが非常に良好。空間感・立体感もリアルで、ミュージシャンの姿・形まで見えるように感じました。


電源ケーブルを替えてみると…

最後に、電源ケーブルを自作のサエクのPC-Triple C導体を採用した切り売りケーブル「AC-6000」に替えたところ、さらにハイスピードなサウンドとなり、透明感も歯切れの良さも加わったことを付け加えておきます。

デジタルアンプへの抵抗感をお持ちのオーディオファイルも、この「X-PM7」の最先端サウンドには脱帽されると思います。シャープの1bitアンプから綿々とつながる『1bitデジタルアンプの最終型』といっても過言でないリアルサウンドをぜひご体感ください。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

WADIAサウンドが蘇る!EXOGAL「Comet Computer DAC」

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
本日は、今年大注目の新進のオーディオメーカー“EXOGAL”の第一弾として登場した、USB対応の多機能DAC「Comet Computer DAC」を取り上げます。

本機をお借りして、自宅で試聴できましたので早速レポートいたします!


WADIA(ワディア)の技術者達が起ち上げた“EXOGAL AUDIO社”

“EXOGAL(エクソギャル)”というブランド名を、初めてお聞きになった方は多いのではないでしょうか。

EXOGAL AUDIO社は、WADIA DIGITALの黄金期を築いた技術者達が、WADIA誕生の地である米国ミネソタ州で起ち上げた新進のオーディオ機器メーカーです。

かつてオーディオファイルの間で銘機と謳われ、一世を風靡したWADIA DIGITALのハイエンドDAC「Wadia27」「Wadia9」など。それらの設計を手がけたJim Kinne(ジム・キニー)氏がチーフ・テクノロジー・オフィサーを努め、DSPに秀でたJan Larsen(ジャン・ラーセン)氏と共に設計に携わっている今年大注目のメーカーです。

EXOGALは最先端のデジタル技術を駆使しながらも、極めてリーズナブルでコストパフォーマンスの優れた、高音質ハイエンドデジタルオーディオ機器の開発を目指しています。その第一弾として、米国生産による「Comet Computer DAC」を昨年(2014年)本国で発表したのです。


高品位D/Aコンバーター「Comet Computer DAC」

「Comet Computer DAC」は、USB対応の多機能DACであり、EXOGALではコンピューターDACという名前を冠しています。

本機は、最新のハイレゾ・デジタルオーディオ・ファーマットのほとんどに完全対応した、高品位D/Aコンバーターです。ハイエンドオーディオの世界を知り尽くした技術者達が、その技術と音楽性の両立を目指し、音楽的リアリティーが格段に優れた高音質を実現するために開発したのです。

因みに“EXOGAL”とは、EXO(外)と、GAL=GALAXY(銀河)を組み合わせた造語で、“銀河の彼方、遥かなる存在”をイメージしたブランド名だとのことです。

「Comet Computer DAC」は、横幅292mmと小ぶりではありますが、実に凝縮感があり、ハイエンドの香りのする非常に高級感あるデザインです。電源部を内蔵していないため重量は3.8kgですが、無垢のアルミニウムを切削加工した堅牢な筐体は、かつてのWADIA製品を彷彿とさせるものです。


そのスペックに迫ります

デジタル入力には、アシンクロナスUSB、AES/EBU、S/PDIF、Toslinkをフル装備しており、USB入力は32bit/384kHzまでのPCMと、DSDはDoPによる5.6MHz(DSD128)まで完全対応しています。AES/EBUと、S/PDIF入力では24bit/192kHzまでのPCMにも対応しています。(Toslinkは24bit/96kHzまで対応)

ライン出力用のDAC素子には、TI製のPCM4104を採用、位相特性の優れたフィルター演算や、サンプリングの変換などの信号処理には、高速DSPを内包した高性能なアルテラ製FPGA(プログラムを独自に書き換え可能)が使われています。

また、シングルエンド(RCA)のアナログ入力も1系統装備しており、24bit/96kHzでA/D変換の後、内蔵の0.5dB、100ステップの高品位デジタルボリュームコントロールを利用した、パワーアンプダイレクト接続ができるプリアンプ機能も併せ持っています。

出力は、アナログ出力としてバランス(XLR)とシングルエンド(RCA)各1系統と、ヘッドホン出力(本体右横の標準ジャック)を装備しており、それぞれ独立使用が可能です。アナログの出力段には、実にスルーレート2000V/μs、電流出力250mAという非常に駆動力の高いバッファー回路が搭載されており、ピュアでダイナミックなD/A変換を実現できたとのことです。

「Comet Computer DAC」本体には、操作ボタンの類はなく、入力セレクトや音量調整などの操作は、付属の非常に小型のスマートリモコン(SR71)ですべて行います。また、iOSアプリ“EXOGAL REMOTE”によるiPadなどからの、Bluetoothによるリモコン操作も可能です。(Android対応アプリは準備中とのこと)

本体中央には入力系統やボリューム位置などを表示する液晶ディスプレイがありますが、ノイズ源を少しでも減らそうとしたため敢えてバックライトがないのですが、少々見にくいと感じました。


実際に試聴してみました

「Comet Computer DAC」ですが、何とか輸入商社AXISS(アクシス)からお借りして、自宅で試聴できましたので、早速そのサウンドについてレポートいたします。

まずは、リファレンスのUSB-DACと入れ替える形でセッティングし、AXISSのwebサイトからWindows用の「EXOGAL専用USB2.0ドライバー」を指示に従ってインストール。そしてfoobar2000のASIO設定などを変更し、約1時間音を出した状態でウォーミングアップした後で試聴しました。

第一印象は、重低音まで伸びきった温かく深い低域、音の詰まった非常に密度感のある中域、キレが良く鮮やかな高域でした。特に、国産の同種機器には感じられない中低域の厚みは、アメリカ・ハイエンドにも通じる充実感を感じました。

小編成のクラシックでは、空間感、立体感が再現され、楽器の質感も十分感じられました。ジャズでは、バスドラの深い低音、ベースの厚い低域が、私のリファレンス機とは決定的な差となって現れ、ピアノのタッチも安定してバシッと決まる感じでした。

そして試聴用ソフトで私が最も多用する、リヴィングストン・テイラーの「Ink」では、一曲目の口笛にも従来になく芯があり伸びやかで、その後に続く男声もしっかりとした実在感のあるボーカルでした。

最後に、かつて生録したフュージョンでは、ドラムの生々しさや皮のハリの再現性は、当時の生録会場を彷彿とさせるリアル感を久々に味わえました。

192kHzのPCMの情報量は圧倒的で、どこかアナログのマスターテープの滑らかさ・エネルギー感を思い出させてくれました。またDSDでも従来のイメージとは全く違い、PCM同様に深い低音はそのままで、DSDならではの滑らかさキメの細かさが再現されました。

音源として同機の規格にはなく、その理由も不明ですが、DSD256(11.2MHz)が再生できたことも付け加えておきます。


試聴を終えてみて

私がかつて憧れた、WADIAブランドのD/Aコンバーター「WADIA PRO(1991年頃)」が奏でる、重心の低い安定感を伴い、輪郭のハッキリしたどこか業務用機器にも通じるような安定感のあるサウンドでした。

この「Comet Computer DAC」をプリとしても使ってみましたが、アナログ入力が1系統とはいえ、決して音が痩せることはなく、多少低域の味わいは後退するものの、十分ハイエンドシステムとして通用するサウンドでした。

「Comet Computer DAC」は、国産のUSB-DACではそろそろ不満を感じ始めているオーディオファイルの方なら、必ずご納得いただける中低域の充実した、上質のハイエンドサウンドが体現できると思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

モニターオーディオから、新「GOLD」シリーズが登場!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
本日は、英国の老舗スピーカーブランド「モニターオーディオ」から、同社独自の最新のノウハウを全て注ぎ込んだスピーカー、新「GOLD」シリーズを取り上げます。最上位機にも引けを取らないこのシリーズは、同社の顔とも言える存在です。


モニターオーディオの顔とも言える「GOLD」シリーズ

モニターオーディオ「GOLD」シリーズは、2002年に発売されたゴールドリファレンス「Gold GR」から始まっており、その後「Gold GS」「Gold GX」とモデルチェンジされ、今回の「GOLD」へと進化してきました。

初代の「Gold GR」シリーズから、モニターオーディオのオリジナル技術である「C-CAM」や「RST」が開発され、投入されています。これらの技術が同社の中堅モデルである「Silver」シリーズや、エントリーモデルの「Bronze」シリーズに移植された結果、両シリーズとも「GOLD」シリーズの進化に伴って、3世代あるいは4世代にわたり、モデルチェンジを重ねてきています。

一方、さらなる高みを目指して、同社のフラッグシップモデルである「Platinum」シリーズの完成にまで至っています。

モニターオーディオでは、常に上級機で開発された技術を他のモデルに採用していくという、オーディオメーカーにとっては理想的なサイクル(好循環)が出来上がっています。数年おきにニューモデルに置き換わることで、各シリーズが常に活性化しています。

そんな中で、新「GOLD」シリーズが登場となったのです。今回は従来とは異なり、「Silver」シリーズが先にリニューアルされたため、新「GOLD」シリーズの発売が待ち望まれていました。

最上位機の「Platinum」シリーズが存在している今でも、「GOLD」シリーズこそがモニターオーディオの中軸《 顔 》であることには変わりありません。


モニターオーディオの「C-CAM」「RST」技術とは

モニターオーディオのスピーカーで、最大のポイントである「C-CAM」や「RST」について、説明しておきましょう。

モニターオーディオは1991年に、世界初となる「セラミック・アルミニウム・ウーファー」を発表して以来、「メタルユニットのパイオニア」として世界的に知られるようになりました。最近でこそ、スピーカーメーカー各社でメタルユニットを搭載したシステム化が進んでいますが、1999年にユニットからキャビネットまでの全てを見直した「Gold GR」シリーズの開発が行われた際に生まれた技術が「C-CAM」です。

この「C-CAM」は、セラミックコートのアルミ/マグネシウム合金のことで、モニターオーディオ独自のC-CAM合金は、航空宇宙産業用に開発されたアルミ/マグネシウム合金を、厚み0.03mm、重さ数分の1gに加工し、表面にセラミック硬化処理を施すことで、超軽量化と高剛性化を両立させたスピーカーユニットです。今では、全てのドライバーにこの振動板の最新型が採用されています。

一方、「RST」(Rigid Surface Technology)は、メタル・ウーファーやスコーカーの表面にディンプル(くぼみ)を設けて、軽量化を図りながらも高い剛性と、ツイーターと同等のレスポンスを達成したものです。


ツイーター(C-CAMリボントランスジューサー)

新「GOLD」シリーズのツイーターは、構造的に「Gold GX」シリーズのリボンと同じですが、さらに改良を加えたものとなっています。その結果、透明なサウンド、素晴らしいディテールと高いイメージ再現性を実現し、高域再生帯域周波数は広く、このクラス最高の60kHzを超えています。あえて「Platinum」シリーズのように、100kHzまで欲張っていないのは、中域ドライバーとの間のクロスオーバー周波数が下がったため、中域ドライバーへの負担が軽減され、表現力のアップにつながったとのことです。


ウーファー(ディンプル形状のRST C-CAMコーン)

また、ウーファーやスコーカーに採用された「RST C-CAMコーン」には、コーンの強度を高める多数のディンプルを設けた「ディンプルRSTコーン」を採用していますが、これも「Gold GX」シリーズで採用されていた「RSTコーン」表面の放射状のリブに換え、従来のディンプルを復活、連続した放射状に配置したディンプルに変更しています。さらに、ロングボイスコイルとすることで、よりクリアーで伸びのある、低歪みで正確な低音を実現できたのです。


新「GOLD」シリーズの特徴

外見から分かる新「GOLD」シリーズの変更点は、ドライバーユニットくらいですが、出てくる音には後述のように大きな進歩が見られます。特に「Gold GX」シリーズからの変更はないものの、新「GOLD」シリーズの主な特徴は以下のとおりです。
  1. シングルボルト方式
    各ドライバーは、一本の通しボルトにより背面から強く引っ張るとともに、フロントバッフルには緩衝材を挟んだだけで固定されています。これにより、キャビネットによる色付けを回避しています。
  2. 高級部品によるクロスオーバー
    高品質のポリプロピレンコンデンサーやコイルなどの部品を使用し、内部配線には銀線が使用されています。
  3. 高級感のあるキャビネット
    自然なカーブをもつ20mm厚のMDF製で、内部の間仕切りと通しボルトにより不要な振動と内部の定在波を排除しています。バスレフポートも特殊な形状を採用し、空気の流れをスムーズにしてダイナミックな低音を実現しています。
  4. 調整可能なベース(フロア型システムのみ)
    高さ調整可能なアルミダイキャスト製のベースが採用されています。フロントグリルはマグネットによる着脱式に変更されています。

前作「Gold GX」シリーズとサウンドで比較

元々「Gold GX」シリーズは、軽やかでレスポンス良い伸びやかサウンドが特徴で、ワイドレンジでありながら、中高域に明るさのある溌剌としたハイスピードなサウンドが魅力でした。

一方、新「GOLD」シリーズは、従来の特徴に加え、よりフラット指向で色付けを感じさせない、自然で情報量の豊かな緻密なサウンドで、最上位機「Platinum」シリーズのサウンドを彷彿とさせるものになっています。また、エネルギー感と厚みのある再現性は、明らかに「Platinum」シリーズに肉薄したともいえます。

フロア型では、深々と沈み込むような低音と弾むような低音を両立させ、再現力がさらに向上しています。


最後に

このように新「GOLD」シリーズは、モニターオーディオ独自の最新のノウハウを全て注ぎ込み、同社のフラッグシップ機(「Platinum」シリーズ)の存在をも脅かす存在にまで達してしまった感さえあります。

そして、この円安基調で海外オーディオ製品の値上げが相次いでいる昨今にあって、従来機「Gold GX」シリーズの価格に対して割安感があるのも、非常に有り難いと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

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