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グレードによる差を検証!ノーススター・デザインのUSB-DAC 5機種!

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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん"です。
本日は、イタリアのオーディオメーカー「ノーススター・デザイン」のUSB-DAC 5機種を取り上げ、グレードによる差を検証します。



ノーススター・デザインとは?

イタリアに本拠を置く「ノーススター・デザイン(North Star Design)」社は、Giuseppe Rampino氏によって、1997年に設立(それ以前は、船舶の制御システムを開発する会社としてスタート)されました。

ピサの斜塔で知られるピサ市郊外に位置し、高いデジタル技術で洗練された音を奏でるハイクオリティな製品を多数生み出してきました。

1998年にD/Aコンバーター「Model 3 DAC」を発表して以来、D/Aコンバーター「Model 192DAC」、CDトラスポート「Model 192CDT」のほか、D/Aコンバーターの上位機種に位置する「EXTREMO」など、数多くのデジタル機器を展開し、D/Aコンバーターの分野では、確実にその知名度と製品に対する信頼感を高めてきました。

また、比較的リーズナブルなのも、同社製品の大きな魅力となっています。

ノーススター・デザインのUSB-DACは、いずれも精密感に溢れ、アルミ削りだしのボーダーのラインが施された、シルバーのフロントフェイスが美しいのが特徴です。

筐体は、プロオーディオ機器を彷彿とさせる1Uサイズやハーフサイズに近い製品が多いのですが、これは同社のオーディオブランドが、スタジオ向けの機器の開発からスタートさせたからのようです。

特に、今でこそハイレゾが注目されていますが、その黎明期(2000年前後)から、同社はその可能性をいち早く見出し、製品開発してきたのでした。

また、5.6MHz/DSDや384kHz・32bit/PCMについてもその取り組みは早く、対応のD/Aコンバーターも海外ブランドとしては非常に早期の投入を果たしています。

経験の長いオーディオファンにとっては、イタリアのオーディオとは、スピーカーのSonus Faber(ソナス・ファベール)であり、管球式アンプのUNISON RESEARCH(ユニゾンリサーチ)などであることから、どうしても「柔らかで温かい、音楽性を最優先にしたアナログサウンド」を思い浮かべてしまいます。

しかし、ノーススター・デザインのデジタル製品について、そのような従来のイタリア・サウンドのイメージを持ってしまうと、製品本来のデジタル機器としての優秀性を見落としかねません。

同社は、『デジタル信号は、素直になればなるほど難しいもの』との考えを基礎に、磨きこまれた同社のテクノロジーやスピリットが息づいた芸術品を目指して製品開発を行っています。

聴く人々に感動を与え、音楽を楽しく、手軽に日常的に聴くことが必要と考えているのです。このあたりに、イタリアを感じるのは私だけではないと思います。


ノーススター・デザインのD/Aコンバーター

最新鋭機「Incanto(インカント)」を含め、5機種あるD/Aコンバーターの「グレードによる差」をご説明する前に、共通点を述べておきます。

USB入力は、DSDは11.2MHzまで、PCMでは384kHz/32bitまで対応(発売初期の製品は有償でのアップデート可)し、アシンクロナスモードを採用しています。

これらは、8個のDACを内蔵し、ジッターを低減させる回路を持つESS製の非同期32bit型のDACチップを採用したことで可能となったのです。

さらに、デジタル入力部とD/A変換を含めた、アナログ回路を分離するアイソレーターを採用しています。



1.Intenso(インテンソ)
最も低価格のUSB-DAC(もちろん同軸/光のデジタル入力もあります)で、DACチップにはESS「ES9016」を1基をステレオモードで使用。

内部の8個のDACを左右4個ずつアンバランスで並列駆動しています。オペアンプ(アナログ信号を増幅するための基本のIC)はTI社のLME49860で、電源はトランス1台で構成。

サウンドは、シャープな切れ味を特徴とし、スピード感のある若々しいサウンドです。



2.Impulso(インプルソ)
DACチップはIntensoと同じ「ES9016」、オペアンプは「LME49870」を10個(Intensoは5個)採用し、バランス出力を搭載しています。

電源トランスは1台ですが、平滑コンデンサーは大容量になっています。

サウンドは、さらに立ち上がりの良い、俊敏なフットワークの良いもので、電源の強化によって中低域はIntensoより充実したものとなっています。



3.Excelsio(エクセルシオ)
Impulsoの発展形で、デジタル入力にXLRバランス(AES/EBU)と、I2S(同社製CD トランスポート専用入力端子)が追加され、アイソレートトランスを搭載するなど、外部からのノイズ流入を徹底的に排除しています。

DACチップにはESSの最高峰である32bit型「ES9018」を1基採用し、ステレオモードで使用しています。

オペアンプには、超高精度で超低歪みのBurr-Brown「OPA1611」を採用。

電源トランスは、デジタル回路とアナログ回路の干渉を避けるため、2台搭載しています。

この結果、非常にクリアで高解像度の本格的ハイファイサウンドが得られています。



4.Supremo(スプリーモ)
最大の魅力は、オペアンプを使用せず、ディスクリートでローパスフィルター回路を構成していることです。

これに高音質パーツを投入することで、ノーススター・デザインが目指すサウンドを実現できたといいます。

また、電源トランスの金属シールドにより、ノイズと振動が遮断され、圧倒的なS/Nを実現できたのです。

これにより、透明度がさらに上がったことで、楽器の細部まで見通せるようなリアルなサウンドが実現できたのです。



5.Incanto(インカント)
最新鋭機のIncantoは、同社がこだわりを持って開発したプリアンプ・ヘッドホンアンプ搭載モデルです。

PCM 384kHz/32bitに加え、DSDはアップデートなしに、Asio方式による11.2MHz(DoPは5.6MHz)まで対応。

DACチップは「ES9016」、オペアンプにはBurr-Brown「OPA1611」を採用しています。

デジタル回路はもちろん、アナログ・ヘッドフォンアンプ回路にも高品質のパーツを厳選して採用しています。

USB-DAC機能に加え、従来機にはないヘッドホンアンプ機能の搭載とボリュームコントロールが可能となったことで、プリアンプとしても使えるようにり、パワード・スピーカーやパワーアンプに直結することで、コンパクトなオーディオシステムが完成します。

しかも、リモコン操作も可能です。

このように、Incantoは「利便性とサウンドクオリティの双方を実現」できた画期的な新製品です。



最後に

ノーススター・デザインのUSB-DACは、デジタル機器という性質のため、見落とされがちなアナログ的な問題点にも万全に対処するとともに、同社の目指す設計思想にも徹底的にこだわっています。

その結果、ソースダイレクト的で高密度、かつ音楽性を重視した、ナチュラルで繊細なサウンドを実現できたのです。

今回取り上げたノーススター・デザインのUSB-DAC 5機種は、お使いのなる方のご予算、USB-DACとしての要求度に応じてお選びください。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)


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